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大麻所持で初犯でも逮捕されるのはなぜ?逮捕後の流れと対応策を徹底解説

大麻所持が初犯であっても、なぜ逮捕されてしまうのかと疑問に思う方は多いのではないでしょうか。特に「少量だった」「一度だけだった」など、軽い気持ちで大麻を所持してしまった場合でも、警察は厳しく対応します。

この記事では、大麻所持で初犯の場合でも逮捕される理由から、逮捕後の流れや起訴の判断基準、弁護士相談のタイミングなどについて、わかりやすく解説します。初犯であっても人生を大きく左右する問題ですので、正しい知識を身につけておきましょう。

特に未成年や若年層の方、またそのご家族の方にも役立つ情報を提供しています。ぜひ最後までご覧ください。

目次

大麻所持で初犯でも逮捕されるのはなぜ?

初めての違反でも大麻所持で逮捕される理由は、犯罪の性質上、放置することが将来的な犯罪の温床となる可能性があるからです。また、警察としては背後にある組織的な犯罪を疑う必要があるため、初犯だからといって見逃すことはありません。

証拠隠滅のおそれがあるから

大麻を所持している人物が逮捕されるのは、証拠隠滅を防ぐためという理由が大きな要素です。例えば、自宅に大麻がある場合、それを処分したり、関係者と連絡を取って口裏を合わせたりすることが考えられます。

こうした行為は事件の真相解明を妨げるため、警察は現場を押さえた段階で迅速に身柄を確保し、証拠が隠されないように対応するのです。

証拠の保全は刑事事件の捜査で最優先事項とされており、初犯かどうかに関係なく即時の対応が求められます。

そのため、初めての違反でも逮捕という重大な処分が下されることになります。

密売ルートとの関係を警察が懸念するから

もう一つの理由として、所持者が密売ルートと関係している可能性があるという点が挙げられます。たとえ自分で使うためだけだったとしても、警察は「誰から入手したのか」「ほかに関係者はいないか」といった背後のネットワークに注目します。

密売組織とのつながりが明らかになれば、より大規模な摘発につながる可能性もあるため、捜査は慎重かつ迅速に行われます。

初犯であっても、捜査協力を得るために逮捕され取り調べを受けるケースが多く、自分だけの問題では済まされないということを理解しておく必要があります。

このような背景から、たとえ初めてであっても警察は逮捕という措置を取らざるを得ないのです。

大麻所持で初犯として逮捕された後の基本的な流れ

初犯で逮捕されたとしても、すぐに裁判になるわけではありません。逮捕から起訴、不起訴までには一定の流れがあります。以下ではその一般的な流れを説明します。

逮捕から警察署での取り調べ(最大48時間)

逮捕されると、まずは警察署に連行され、取り調べが始まります。この期間は最大で48時間と定められており、その間に警察が所持の経緯や入手先などについて詳しく尋ねます。

この段階での供述がその後の処分に大きく影響するため、感情的にならず正確に答えることが重要です。

また、この間は基本的に外部との連絡が制限されており、弁護士を通じてのみコミュニケーションが可能な状態です。

家族が面会を望んでも許可されないことが多く、精神的にも厳しい時間となるでしょう。

検察へ送検・勾留請求の判断(送検後24時間以内)

48時間以内に警察から検察へと送検されると、検察官がさらに24時間以内に勾留するかどうかの判断を下します。このタイミングが非常に重要で、弁護士が勾留を防ぐための意見書などを提出することが可能です。

勾留請求がされると、今度は裁判官がその判断を行います。勾留が認められた場合、さらに身柄拘束が続くことになります。

この時点での対応によって、その後の流れが大きく変わるため、早めの弁護士相談が重要です。

送検される前後はまさに重要な分かれ道であり、どれだけ準備が整っているかが結果を左右するでしょう。

勾留が認められれば身柄拘束へ

裁判所が勾留を認めると、最大で10日間の身柄拘束が始まります。この間も警察や検察の取り調べが続き、捜査資料が集められます。

本人にとっては、外部との接触が限られたまま長期間拘束されるため、精神的な負担が非常に大きくなります。

勾留中でも、弁護士との面会(接見)は認められているので、定期的に弁護士と連絡を取り、アドバイスを受けることが大切です。

この期間中の言動や態度は、検察官の処分判断にも影響を与えるため、冷静に対応する必要があります。

大麻所持で初犯の場合の勾留の流れとその期間

大麻所持で初犯のケースでも、勾留は通常通り進行します。勾留には最長20日間の期間が設定されており、その中で起訴・不起訴が決定されます。

最初の勾留は10日間

勾留が認められた場合、まずは10日間の拘束期間がスタートします。この間に警察と検察は証拠を集めたり、供述の内容を確認したりします。

また、被疑者の生活環境や反省の態度などもチェックされることが多く、起訴・不起訴を決定する材料として使われます

この初期の勾留期間中に、被疑者の態度や協力姿勢が評価されるため、誠実な対応が求められます。

場合によっては、この10日間の間に釈放されることもありますが、それは非常にまれです。

状況により10日間延長されることがある

初回の10日間で捜査が終わらない場合、検察は裁判所に対して勾留延長を申請することができます。この延長が認められると、さらに10日間、最大で計20日間の拘束が可能になります。

勾留の延長は、捜査の必要性や逃亡・証拠隠滅の恐れがあるかどうかがポイントです。

延長された場合は精神的にもかなりの負担となるため、弁護士と相談し、準抗告などの対応を検討することが有効です。

この段階でも弁護士のサポートが重要であり、早期の対応が不起訴の可能性を高める要素となります。

大麻所持で初犯の起訴までのタイミングとその判断基準

勾留が続く中、検察は最終的に起訴するかどうかの判断を下します。起訴されれば刑事裁判が始まり、不起訴になれば刑事処分は終了します。

勾留中に検察が起訴or不起訴を判断する(約20日以内)

検察官は勾留開始から原則として20日以内に、被疑者を起訴するかどうかを判断します。これが刑事手続きの中でもっとも大きな分かれ道となります。

起訴されると前科がつく可能性が出てくるため、被疑者と弁護士にとっては非常に重要な局面です。

この期間中、弁護士が検察に対して不起訴処分を求める意見書を提出したり、示談交渉を行ったりすることもあります。

検察の判断は、証拠の有無・本人の態度・社会的影響など総合的に見て決定されます

初犯・少量・反省などは不起訴猶予につながる可能性がある

初犯であり、所持量がごくわずかであること、そして反省の態度が明確である場合、不起訴や不起訴猶予の判断がされるケースもあります

不起訴猶予とは、罪は認めるものの、社会的制裁や更生の可能性が考慮されて起訴されない処分です。

このようなケースでは、弁護士の意見書や被疑者の謝罪文、家族からの嘆願書なども重要な判断材料となります。

不起訴になれば刑事処分は終了となり、前科がつくこともありません

そのため、初犯であることや生活環境、再発防止策などを丁寧にアピールすることが極めて重要です。

大麻所持で初犯なら起訴されない可能性はある?

大麻所持が初犯の場合、必ずしも起訴されるとは限りません。不起訴になる可能性も十分にあり得るため、その判断基準を知っておくことが重要です。

令和元年の大麻取締法違反の不起訴率は約45~50%

検察統計によると、令和元年の大麻取締法違反で検挙された人のうち、約45%から50%が不起訴となっているというデータがあります。

つまり、約半数近くの人が起訴されずに処分が終了しているということです。

この数字は、検察が個別の事情を考慮し、柔軟に対応していることを示しています。

したがって、初犯であることや社会復帰の見込みがあることを丁寧に訴えることが不起訴の可能性を高める要因となるのです。

初犯・量が少ない・情状条件が整えば不起訴もあり得る

起訴されるかどうかのポイントは、所持量の少なさや本人の反省の態度、再犯の可能性の有無などです。これらが「情状」と呼ばれる事情として考慮されます。

具体的には、以下のような条件が整っていれば不起訴となる可能性が高まります。

  • 本人が深く反省している
  • 大麻の所持量がごく少量
  • 家族の監督体制がある
  • 再発防止の意志が明確である
  • 初犯であり前科がない

これらを証明するために、弁護士による意見書、謝罪文、家族の嘆願書などの提出が効果的です。

不起訴処分を目指すには、早い段階で弁護士と協力し、必要な準備を整えることが不可欠となります。

大麻所持で初犯の逮捕後に弁護士に相談するタイミング

逮捕された後、できるだけ早く弁護士に相談することが非常に重要です。特に初犯の場合、早期の対応が処分に大きく影響します。

逮捕直後(48時間以内)が重要な交渉のタイミング

警察が取り調べを行い、検察へ送致するまでの48時間以内は、弁護士が勾留阻止のために動ける貴重な時間です。

この段階での行動によって、勾留を避けて早期に釈放される可能性が出てきます。

たとえば、弁護士が検察に対して「被疑者が逃亡や証拠隠滅の恐れがないこと」を主張する意見書を提出することが可能です。

家族が逮捕を知ったら、すぐに刑事事件に強い弁護士へ連絡することが大切です。

勾留請求前に意見書や準抗告を準備するため

勾留請求がなされる前に、弁護士は準抗告や意見書の提出などで積極的に動くことができますこれによって勾留を回避したり、勾留期間を短縮できる可能性があります。

そのためには、できるだけ早く弁護士に事件の詳細を伝え、必要な証拠や書類を準備してもらうことが不可欠です。

時間が経つほど弁護士が対応できる範囲が限られてくるため、「弁護士に頼むか迷っている間に状況が悪化した」ということにならないよう注意しましょう。

スピーディな判断が、その後の処分や社会復帰に大きく関わってきます。

大麻所持で初犯の勾留中にできること・してはいけないこと

勾留中は行動に様々な制限がありますが、正しく対応することで不起訴の可能性を高めることも可能です。

弁護士だけは面会できる(接見禁止でも接見可能)

勾留中は一般の人との面会が禁止される「接見禁止処分」がつくことがありますが、弁護士との面会(接見)は例外的に認められています

つまり、家族や知人が会いに来ても会えないことが多いですが、弁護士だけは自由に接見することができます。

そのため、弁護士との定期的な連絡が唯一の情報源となるケースも少なくありません

不安や疑問がある場合は、弁護士に率直に相談し、対応策を話し合いましょう。

家族への接見禁止がつくこともあるので注意

勾留中には裁判所の判断で「接見禁止処分」が付くことがあります。この処分が下されると、家族であっても面会や手紙のやり取りができなくなります

このような処分は、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせを防ぐための措置で、警察の判断によって柔軟に適用されます。

家族からすれば非常に心配な状態ですが、弁護士を通じて本人の様子を確認したり、伝言を依頼したりすることは可能です。

突然の逮捕で混乱してしまうかもしれませんが、冷静に状況を把握し、弁護士と連携することが大切です。

勾留延長に備えて早めに準抗告を検討する

勾留期間が延長される可能性がある場合には、早めに「準抗告」を検討することが重要です。準抗告とは、勾留の決定に対して不服を申し立てる手続きで、これにより勾留の取り消しが認められることもあります。

勾留延長が決定される前に準抗告の準備を進めておくと、より効果的に釈放の可能性を高めることができます。

勾留中の本人だけでなく、家族や弁護士が一体となって行動することがカギとなります。

裁判所の判断を変えるには、合理的な理由や監督体制の整備など、具体的な事情を示す必要があります。

大麻所持で初犯の起訴が決まるまでの家族や仕事への影響

逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまでの間、家族や仕事にもさまざまな影響が及びます。その影響を最小限に抑えるためには、早期の対応が必要です。

接見禁止で家族が面会できなくなる場合がある

接見禁止が付いてしまうと、家族であっても本人と連絡を取ることができなくなりますそのため、本人の状況が分からず、不安が募ることも少なくありません。

しかし、弁護士は接見できるため、家族からの伝言を弁護士に託して伝えるといった方法が可能です。

このような間接的なやり取りを活用して、家族の支えを伝えることが精神的な支えにもなります。

逮捕後すぐに家族と弁護士が連携し、情報共有をしておくことが非常に大切です。

勾留期間中は仕事や学校に通えず大きなブランクができる

勾留期間中は、当然ながら仕事や学校に通うことができません。最大で20日間のブランクが生じ、職場や学校に対しても説明が必要になるケースが多いです。

また、無断欠勤が続けば、解雇や退学といった事態に発展する可能性も否定できません

そのため、可能であれば弁護士を通じて職場や学校に事情を説明し、理解を得るための行動が求められます。

職場や学校の信頼を回復するためには、誠実な対応と反省の意思を見せることが大切です。

不起訴や執行猶予なら前科はつかないが影響は残る

不起訴処分や執行猶予付きの判決であれば、法的には「前科がつかない」扱いとなります。ただし、逮捕歴や警察沙汰になった事実は記録として残り、完全に社会的影響を消すことはできません。

特に、就職活動や転職活動の際には、不利になる場合もあるため注意が必要です。

こうした社会的影響を最小限にするためにも、初期段階での適切な弁護活動が非常に重要です。

周囲の支えと早期の対応によって、再スタートの準備を進めていくことが可能となります。

まとめ:大麻所持で初犯で逮捕された後の流れと勾留・起訴のタイミング

大麻所持が初犯であっても、逮捕や勾留、さらには起訴の可能性があるということをしっかり理解しておくことが重要です。

警察や検察は、証拠隠滅や密売組織との関係などを考慮し、初犯でも厳格な対応を取ります。逮捕後は48時間以内に送検され、勾留が認められれば最大20日間の身柄拘束が続くことになります。

しかし、反省の態度や社会復帰の見込み、家族の支援体制などが整っていれば、不起訴処分になる可能性も十分にあります

そのためには、早い段階で弁護士に相談し、意見書や準抗告などを活用して勾留を回避・短縮することが重要です。

大麻所持の問題は、個人だけでなく家族や社会にも影響を与える深刻な問題です逮捕された後の対応次第で今後の人生は大きく変わります。焦らず、冷静に、そして迅速に行動することが再出発への第一歩となるでしょう。