日常の中の「もしも」に備える法律ノート

ナンパが犯罪になる場合とは?避けるべき行為と法律解説

ナンパは、異性との出会いを求める行為として広く知られています。しかし、その行動が度を超えると、犯罪として扱われる可能性があることをご存じでしょうか?

例えば、相手が明らかに拒否しているのに何度も声をかけたり、強引な手法を用いたりすると、法律に抵触する恐れがあります。特に、未成年者へのアプローチや、相手の身体に勝手に触れる行為は、より厳しい処罰の対象となります。

本記事では、ナンパが犯罪と判断されるケースや、適用される法律、トラブルを避けるための注意点について詳しく解説します。適切なナンパの方法を知ることで、法を犯さずに健全な出会いを楽しむことができます。

ナンパはすべて合法なのか?

ナンパ自体は違法ではありません。街中やイベント会場などで異性に声をかけることは、法律で禁止されているわけではないのです。しかし、相手の意思を無視したり、過度にしつこく迫ったりすることで、迷惑行為として処罰の対象になる場合があります。

近年、ナンパを巡るトラブルが増加しており、各自治体では迷惑防止条例を強化する動きも見られます。また、ナンパを指南する「ナンパ塾」や「ナンパ師」と呼ばれる人々が存在し、時には社会問題に発展することもあります。

ナンパをする際には、どのような行為が法律違反となるのかを知っておくことが大切です。以下、具体的なケースについて見ていきましょう。

しつこい声かけやつきまとい

ナンパで最もトラブルになりやすいのが、しつこい声かけやつきまとい行為です。相手が一度断ったにもかかわらず何度も声をかける、後をつける、執拗に連絡先を聞くなどの行為は、犯罪として扱われる可能性があります。

例えば、「迷惑防止条例」では以下のような行為が禁止されています。

  • 一度断られたにもかかわらず、再度同じ相手に声をかける
  • 相手が立ち去ろうとしているのに進路を妨害してナンパを続ける
  • 特定の相手に繰り返し声をかけたり、待ち伏せをする

このような行為が繰り返されると、「ストーカー規制法」に抵触する場合もあります。特に、深夜の人通りが少ない場所でのナンパは、相手に強い恐怖を与える可能性があるため、絶対に避けましょう。

相手の進路を妨害する

ナンパの際に相手の進路を妨害する行為も、違法とされるケースがあります。たとえば、以下のような行為が該当します。

  • 相手の目の前に立ちふさがり、無理に会話を続けようとする
  • エレベーターの出口や改札口で待ち伏せをして、逃げ場をふさぐ
  • 複数人で相手を取り囲み、心理的に圧迫する

これらの行為は、「軽犯罪法」や「強要罪」に該当する可能性があります。さらに、相手を無理に特定の場所へ連れて行こうとした場合、「監禁罪」としてより重い罪に問われる可能性もあるのです。

脅迫や強要を伴う行為

「少しだけ話してくれるだけでいい」「このまま帰ると後悔するよ」などの発言も、状況によっては脅迫とみなされることがあります。特に、相手が恐怖を感じるような言葉を発した場合、「脅迫罪」に該当する可能性があります。

また、無理やり連絡先を交換させたり、「電話しないと何かあるよ」といった発言をすることは「強要罪」にあたる可能性があるため、十分な注意が必要です。

未成年者へのアプローチ

未成年者へのナンパは、たとえ本人が同意していたとしても違法となる場合があります。各都道府県には「青少年保護育成条例(淫行条例)」があり、18歳未満の者との性的な関係を持つことを厳しく制限しています。

さらに、SNSを通じて未成年者に接触を試みる行為は、「児童買春・ポルノ禁止法」に問われる可能性があり、非常に厳しい罰則が科されることもあります。

ナンパの際は、相手の年齢をしっかり確認し、未成年の可能性がある場合は決してアプローチしないようにしましょう。

相手の同意なしに身体に触れる

ナンパの際に、軽く肩を叩く、手を握るといった行為をする人もいますが、これらも「不同意わいせつ罪」に該当する可能性があります。

特に、相手が嫌がった場合や、公共の場での不適切な身体接触は、刑法違反となる恐れがあります。たとえフレンドリーなつもりでも、相手にとっては不快であり、犯罪として扱われる可能性があることを理解しておきましょう。

安全にナンパをするためのポイント

ナンパをする際には、法律を守ることはもちろん、相手の気持ちを考慮した上で行うことが重要です。安全にナンパをするためのポイントを押さえておきましょう。

1. 相手の反応を尊重する

ナンパは、相手の同意があって初めて成立するものです。相手が明らかに興味を持っていない場合は、すぐに引くことが重要です。

2. 公共の場で適切なマナーを守る

ナンパをする際は、人通りの多い場所や明るい場所を選びましょう。また、周囲の人々に迷惑をかけないよう、適切な距離を保つことも大切です。

3. 強引な手法は避ける

無理に連絡先を聞き出そうとしたり、相手の進路を妨害したりする行為は絶対に避けましょう。自然な流れで会話を楽しむことを意識しましょう。

次のセクションでは、ナンパが違法と判断される具体的な法律について詳しく解説します。

ナンパが犯罪と判断される法律とは?

ナンパが法律違反とみなされるのは、主に次のようなケースです。

  • しつこく声をかけ続けて相手に不安を与えた場合
  • 強引な誘いで相手の自由を奪った場合
  • 未成年者を対象にした場合

それでは、具体的にどの法律が適用されるのかを見ていきましょう。

軽犯罪法

軽犯罪法は、人々の生活の平穏を守るための法律です。この中には、しつこくつきまとったり、不安を与える行為を禁止する条文があります。

「正当な理由がなく、人に付きまとい、または進路をふさぐこと」は軽犯罪法第1条28号に該当し、拘留または科料に処される可能性があります。

(引用:軽犯罪法

例えば、何度も声をかけて断られたにもかかわらずつきまとう行為は、この法律に抵触する可能性があります。

迷惑防止条例

各都道府県には「迷惑防止条例」があり、しつこくナンパをする行為を規制しています。

東京都の迷惑防止条例では、「人に対し、つきまとい、待ち伏せし、または押しかける行為」を禁止しています。

(引用:東京都迷惑防止条例

特に、駅や繁華街でしつこくナンパをする行為は迷惑防止条例違反として処罰される可能性が高いです。

脅迫罪・強要罪

ナンパの際に相手を怖がらせるような発言をした場合、「脅迫罪」や「強要罪」に問われる可能性があります。

刑法第222条(脅迫罪):「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。」

(引用:刑法

例えば、「話さないとどうなるかわかってる?」などの発言は、相手が恐怖を感じれば脅迫罪に該当する可能性があります。

不同意わいせつ罪・不同意性交等罪

2023年の刑法改正により、「不同意わいせつ罪」「不同意性交等罪」が新設されました。これは、相手の同意がないのにわいせつ行為や性交を行うことを処罰する法律です。

刑法第179条(不同意わいせつ罪):相手の同意がないにもかかわらず、わいせつな行為をした場合、5年以下の懲役が科される。

(引用:法務省

強引なナンパで無理やりキスをする、体を触るなどの行為はこの法律に違反する可能性があります。

青少年保護育成条例

未成年者(18歳未満)を対象にナンパをすることは、各都道府県の「青少年保護育成条例」に違反する可能性があります。

東京都青少年の健全な育成に関する条例では、「18歳未満の者に対して、性的な目的で接触すること」を禁止しています。

(引用:東京都青少年保護育成条例

例えば、未成年と知りながらナンパしてデートに誘う行為は条例違反になる可能性があり、厳しい罰則が科される場合もあります。

ナンパによるトラブルを防ぐために

ナンパをする際には、トラブルを避けるためにいくつかのポイントを意識することが大切です。ここでは、安全かつ適切にナンパを行うための具体的な対策を紹介します。

1. 相手の意思を尊重する

ナンパは、相手が好意的に受け入れてくれる場合にのみ成立するものです。相手が明らかに嫌がっている場合は、すぐに引くことが重要です。特に、一度断られたらしつこく追いかけないようにしましょう。

2. 適切な場面・場所を選ぶ

ナンパをする際は、適切な場所を選ぶことが重要です。例えば、人通りの多い場所やオープンな空間であれば、不審に思われることは少なくなります。一方で、暗い路地やエレベーターの中などでナンパをするのは避けるべきです。

3. 礼儀正しい態度を心がける

ナンパの際は、丁寧な言葉遣いや誠実な態度を心がけることが大切です。例えば、「こんにちは、少しお話しませんか?」といった穏やかな声かけを意識しましょう。また、相手が困惑している様子であれば、すぐに引くことも重要です。

4. 過度な接触は避ける

ナンパの際に相手の身体に触れる行為は厳禁です。たとえ軽く肩を叩く程度であっても、相手が不快に感じればトラブルの原因になります。物理的な距離をしっかりと保ちましょう。

5. 周囲の人に迷惑をかけない

ナンパをする際は、周囲の人に迷惑をかけないことも重要です。大声を出したり、道を塞いだりするような行為は避けましょう。また、公共の場では周囲の視線も意識し、周りに不快感を与えないように配慮することが大切です。

まとめ

ナンパは適切に行えば問題はありませんが、相手の意思を無視してしつこく声をかけたり、脅迫したりすると犯罪になる可能性があります。

特に、次のような行為は法律違反になる可能性があるため注意しましょう。

  • しつこく声をかけて相手の迷惑になる(軽犯罪法・迷惑防止条例)
  • 怖がらせたり脅したりする(脅迫罪・強要罪)
  • 無理やりわいせつな行為をする(不同意わいせつ罪・不同意性交等罪)
  • 未成年者にナンパをする(青少年保護育成条例)

ナンパをする際は、相手の反応をしっかりと見極め、相手が嫌がっている場合はすぐに引くことが重要です。