日常の中の「もしも」に備える法律ノート

警察から電話がかかってきたときの正しい対応法|本物か詐欺かを見分けるポイント

突然「警察です」と名乗る人物から電話がかかってきたら、誰でも驚くものです。ですが、その電話が本当に警察からのものか、詐欺グループによるものかを見抜くことが非常に重要です。昨今では警察を装った特殊詐欺が全国的に増加しており、冷静な判断を欠くと大切な資産を失ってしまう危険もあります。

本記事では、警察から電話がかかってくる正当な理由や、本物かどうかの見分け方、そして詐欺電話にだまされないための具体的な対応方法を、わかりやすく解説します。中学生でも理解できる言葉でまとめているので、家族みんなで読んで安心を守りましょう。

また、もし自分や家族に関係する内容だった場合にどう行動すべきか、そして相談できる窓口まで詳しく紹介します。焦らず冷静に行動するための知識を、この記事でしっかり身につけてください。

警察から電話がかかってくるのはどんなとき?

まず最初に知っておきたいのは、「警察から電話が来るのはどんな状況か」という点です。警察が市民に直接電話をかけてくるケースは、実はそれほど多くはありません。多くの場合、事件や事故などに関係している、あるいは協力を求める場合など、明確な理由があります。

捜査や捜索・逮捕の可能性があるという通報の場合

警察が電話をかけてくる理由のひとつに、「事件や犯罪の通報があり、あなたがその現場や人物に関係している可能性がある」というケースがあります。たとえば、あなたの車のナンバーが事件現場で目撃された、もしくはあなたの名前が何らかの通報に含まれていたなどです。

このような場合、警察は事実関係の確認を目的として電話をかけてくることがあります。しかし、本物の警察官であれば、名乗り方や話し方が非常に丁寧であり、すぐにお金や個人情報を要求することはありません。

逆に、「あなたは犯罪に関与している」「今すぐお金を払わないと逮捕される」などの強い言葉を使う場合は、ほぼ確実に詐欺電話と考えてよいでしょう。

本物の警察からの電話であれば、必ず所属部署氏名を名乗り、後から警察署代表番号に折り返して確認できるように案内されます。

証拠提出や事情聴取のためという連絡の場合

事件や事故の目撃者、または関係者として事情を聞きたいという目的で警察から連絡が入る場合もあります。たとえば交通事故の目撃者として証言を求められる、または盗難事件の被害届に関連して追加の証拠を確認したいといったケースです。

この場合も、警察官は「〇〇警察署・刑事課の△△です」などと名乗り、日程調整場所の指定などを丁寧に伝えてきます。いきなり個人情報を聞いたり、金銭の支払いを求めたりすることはありません。

また、警察の事情聴取は基本的に署内公的な場所で行われます。電話だけで完結するようなケースは非常にまれですので、もし「電話で今すぐ話して」などと急かされた場合は、詐欺の可能性を疑いましょう。

あなたの口座・資産が関係しているという警察からの連絡という可能性

「あなたの銀行口座が犯罪に使われている」という内容の電話は、詐欺電話で最も多い手口のひとつです。警察を名乗りながら、「口座を凍結するために情報を確認する」「安全のために別の口座に移してほしい」といった誘導を行います。

しかし、警察電話銀行口座の番号や暗証番号を尋ねること絶対にありません。また、資産を「安全に保管する」ために送金させることも100%あり得ません。

もしこのような電話を受けた場合は、相手がどんなに説得してきても、その場で対応せず、すぐに電話を切りましょう。その後、自分で調べた警察署の代表番号に連絡して確認するのが安全です。

本物の警察からの電話か確認する方法

ここでは、本当に警察からの電話なのかを判断するための基本的なチェックポイントを紹介します。疑わしいと思ったら、以下の方法を必ず試してみてください。

担当部署・氏名・内線を確認する

電話を受けた際には、まず「どこの警察署」「どの部署」「誰からの電話」なのかを正確に聞き取ることが重要です。本物の警察官であれば、これらを明確に答えられますし、内線番号も教えてくれるはずです。

「今は言えません」「後で折り返します」と曖昧にするような場合は、詐欺の可能性が高いと考えてください。また、担当部署名や氏名をメモしておくことで、後から警察署に確認する際に役立ちます。

丁寧に質問しても嫌がらず、むしろ協力的に答えるのが本物の警察官の特徴です。

一旦電話を切り、本物の警察署の代表番号へ折り返す

もし電話の内容に少しでも不安を感じた場合は、その場で会話を続けずに一旦電話を切ることが大切です。そして、自分で公式サイトや電話帳から調べた警察署の代表番号にかけ直し、「先ほど〇〇という方から電話を受けましたが、本当にそちらの方ですか?」と確認してください。

この確認をするだけで、詐欺電話の多くを見抜くことができます。詐欺グループは、自分たちがコントロールできる番号(転送電話など)を使っているため、代表番号への折り返しを嫌がります。「今は折り返さなくても大丈夫です」「私からまた連絡します」と言われたら、間違いなく怪しいと思ってください。

本物の警察官であれば、正式な手順で再連絡が可能ですし、急がせるような言動はしません。

発信番号や着信表示の内容を調べる(末尾0110・なりすましの可能性)

警察署の電話番号は、ほとんどが「〇〇-×××-0110」で終わる番号です。もし着信番号の末尾が「0110」であっても、油断は禁物です。詐欺グループは発信番号を偽装して、本物の警察番号のように見せかけることがあります。

たとえば、スマートフォンに「〇〇警察署」と表示されても、それが本物であるとは限りません。最近の特殊詐欺では、電話番号をなりすます「番号スプーフィング」という手口が使われており、着信表示だけで判断するのは危険です。

したがって、着信番号がどんなに本物らしくても、必ず自分で警察署の公式サイトから代表番号を調べ、そちらにかけ直すようにしましょう。

警察を名乗る詐欺電話の特徴と見分け方

詐欺グループは、警察を名乗ることで人々の警戒心を和らげ、金銭や個人情報をだまし取ろうとします。ここでは、実際によく使われる詐欺電話の特徴と見分け方を解説します。

「あなたの口座が犯罪に使われている」などと急かす文言が出る

「あなたの口座が詐欺に使われています」「すぐに対応しないと凍結されます」などの言葉は、典型的な詐欺のサインです。人は「急がないと大変なことになる」と言われると、冷静な判断ができなくなってしまいます。詐欺グループはその心理を巧みに利用します。

警察が電話で「すぐに口座番号を教えてください」「今からお金を移してください」と指示することは絶対にありません。少しでも違和感を感じたら、すぐに電話を切ってください。

このような「緊急性をあおる発言」は、警察を装う詐欺電話の最大の特徴といえます。

SNS・ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を見せるという誘導がある

最近では、LINEZoomなどのビデオ通話を使って「警察手帳を見せる」「逮捕状を画面に映す」といった演出を行う詐欺も確認されています。これは非常に巧妙な手口ですが、本物の警察官がこのような方法で連絡することはありません。

警察官が手帳や逮捕状を提示するのは、必ず対面での正式な手続きのときだけです。画面越しで見せる行為は、法的にも無効ですし、詐欺の可能性が極めて高いです。

「これで信じてください」と言われても、決して信用してはいけません。画像や映像はいくらでも偽造できます。

実在の警察署番号を偽装して表示してくる手口がある

先述の通り、発信番号のなりすまし(スプーフィング)は非常に多く、実在の警察署の番号がそのまま表示されるケースもあります。詐欺グループは、あたかも本物の警察からかかってきたように見せかけて信頼を得ようとします。

そのため、「着信番号が警察署のものだった」としても安心せず、必ず折り返し確認を行うことが重要です。特に「番号が本物だから大丈夫だろう」と思い込むことが、被害につながる最大の原因です。

警察から電話がきたときに絶対してはいけないこと

ここでは、警察を名乗る相手から電話を受けたときに、絶対にしてはいけない行動を具体的に挙げます。少しでも該当する行為をしそうになったら、すぐに行動を止めてください。

金銭を振り込んだりキャッシュカードを渡したりすること

「捜査のためにお金を一時的に預かります」「あなたのカードを確認する必要があります」と言われたら、100%詐欺です。警察が個人から現金やキャッシュカードを預かることは法律で禁じられています。

また、「安全な口座に移してください」「捜査用に警察口座へ送金してください」と言われても、絶対に応じてはいけません。そのような口座はすべて詐欺グループの管理下にあります。

現金・カード・口座情報を他人に渡すことは、取り返しのつかない被害につながります。

表示された番号にそのまま折り返すこと(相手指定の番号)

詐欺グループは「この番号にかけ直してください」と、あらかじめ用意した番号を指定してきます。その番号にかけ直してしまうと、同じグループ内の別の人物につながり、さらに巧妙にだまされるケースがあります。

折り返す際は、必ず自分で調べた代表番号を使うようにしてください。ネットで検索すれば、都道府県警察の公式サイトで簡単に確認できます。

焦って相手の言う通りに住所・口座番号・暗証番号を教えること

どんなに強い口調で迫られても、個人情報を教える必要はありません。「警察です」「すぐに必要です」と言われても、焦ってはいけません。落ち着いて考えれば、本物の警察が電話で個人情報を聞くことはあり得ないとわかるはずです。

相手が本当に警察官であれば、正式な文書や面談で説明してくれるはずです。電話口で住所や暗証番号を教えるよう求められたら、その時点で詐欺を疑いましょう。

落ち着いて対応するための5つのステップ

では、実際に「警察から電話がきた」ときに、どのように行動すれば安全なのでしょうか。ここでは、誰でも実践できる落ち着いた対応のための5つのステップを紹介します。

①まず深呼吸して心を落ち着ける

突然の電話で動揺するのは当然です。ですが、焦って行動すると相手の思うつぼです。まずは深呼吸をして落ち着きましょう。「一度冷静になってから考えよう」と自分に言い聞かせるだけでも、詐欺の被害を防げることがあります。

人間は恐怖や焦りを感じると、論理的な判断力が低下します。そのため、詐欺師はあえて不安を煽るような言葉を選ぶのです。

最初の一呼吸が、あなたの財産と信頼を守る第一歩になります。

②相手の「警察署名・担当部署・氏名・内線」を丁寧に確認する

電話がかかってきたら、相手の所属と氏名を正確に聞き取りましょう。「どちらの警察署からですか?」「部署名とお名前をもう一度お願いします」と丁寧に尋ねることが大切です。本物の警察官であれば、きちんと答えてくれますし、内線番号なども明確に伝えてくれます。

逆に、「それは今言えません」「あとで上司から連絡します」などと曖昧にする場合は、詐欺の可能性が非常に高いです。警察官を名乗る人が、身分を明かさないことはあり得ません。毅然とした態度で質問し、相手の反応を確かめてください。

この質問の段階で、ほとんどの詐欺は見抜けます。相手が動揺したり、話をそらそうとしたら、それが何よりのサインです。

③一旦電話を切り、自分で公式番号へ折り返す

どんなに本物らしく思えても、必ず一度電話を切りましょう。そして、自分で公式サイトから代表番号を調べ、その番号へかけ直してください。「本当にそのような電話をしていますか?」と確認すれば、すぐに真偽がわかります。

警察署の公式番号は、都道府県警察のホームページで簡単に調べることができます。スマートフォンで「〇〇警察署 電話番号」と検索するだけです。Googleマップなどに表示される番号を確認するのも有効です。

自分で調べて確認する。このひと手間が、あなたを詐欺から守る最大の防御になります。

④相手の主張や要求内容を紙にメモする・時間を置いて再考する

電話の内容をその場で信じ込まず、いったんメモを取りましょう。「誰が」「何を言っていたか」「どんな行動を求められたか」を書き出すことで、冷静に整理できます。焦って行動してしまう前に、家族や友人に相談する時間を取りましょう。

詐欺グループは「今すぐ」「今日中に」と行動を急がせますが、冷静に考えれば不自然なことが多いはずです。時間を置くことで、冷静な判断力を取り戻すことができます。

メモと時間、この2つが詐欺を見破るための強力な武器になります。

⑤公式窓口(例: #9110)に相談・確認する

不審な電話を受けた場合は、ためらわずに相談窓口へ電話しましょう。全国共通の警察相談専用番号「#9110」では、専門の担当者があなたの状況を丁寧に聞き取り、必要に応じて対処法を教えてくれます。

また、内容が詐欺の疑いがある場合は「消費者ホットライン188」でも相談可能です。どちらも通話料のみで利用できるため、気軽に連絡して問題ありません。

「ちょっと聞いてみようかな」という軽い気持ちでも構いません。相談すること自体が、被害を防ぐ第一歩です。

もし家族や知人に関する内容だった場合の対処法

警察を名乗る電話の中には、「あなたの家族が事件に関わっている」「知人がトラブルに巻き込まれた」といった内容で不安を煽るケースもあります。このような場合は、より冷静な対応が求められます。

「家族が逮捕された」「知人がトラブルに巻き込まれた」と言われたときも冷静に対応する

このような言葉を聞くと、驚いてすぐに信じてしまう人が多いです。しかし、まずは冷静になりましょう。警察が家族の逮捕を電話で伝えることは基本的にありません正式な連絡は、直接の訪問や文書によって行われます。

また、「保釈金が必要」「示談金を振り込んでほしい」などと言われたら、それは確実に詐欺です。家族のことを心配する気持ちを利用する非常に悪質な手口です。

どんなに信頼できそうな口調でも、焦ってお金を送ることは絶対にしないでください。

家族・知人に直接連絡して状況を確認する

電話で「家族がトラブルに巻き込まれた」と言われたら、すぐにその家族本人や知人に直接連絡して確認しましょう。実際には何の問題もなく過ごしているケースがほとんどです。

相手が「今は連絡できません」「携帯を没収しました」と言っても、信用してはいけません。詐欺師は家族に連絡させないよう、あらゆる言い訳をします。

まずは事実確認を最優先にすること。これが冷静な判断への第一歩です。

家族の事情を聞いてから、警察に直接証明書類などを確認する(捜査令状・逮捕状など)

本当に警察の関係者からの連絡であれば、捜査令状や逮捕状といった正式な文書が必ず存在します。それらを確認するまでは、相手の話を信用しないようにしましょう。

電話「令状が出ています」と言われても、それだけでは何の証拠にもなりません。正式な令状は、紙の書面として交付されるものです。

警察署の窓口で確認すれば、すぐに真偽を判断できます。時間や手間を惜しまず、自分の目で確かめることが被害を防ぐ最善策です。

警察から電話が来たときに相談できる窓口

少しでも「おかしい」と感じたら、ひとりで悩まずに専門の相談窓口へ連絡しましょう。全国には、警察や公的機関が設置している安全な窓口がいくつもあります。

全国共通: #9110 警察相談専用電話

警察庁が運営する全国共通の相談ダイヤルです。地域ごとの警察本部につながり、担当の職員が親切に対応してくれます。「緊急性はないけど心配」という場合でも問題ありません。詐欺の疑いがある電話や不審な連絡があったときは、まずここに電話しましょう。

受付時間は平日の日中が中心ですが、各都道府県によっては夜間対応を行っている地域もあります。音声案内に従って地域を選択すれば、すぐに繋がります。

消費者ホットライン188(詐欺の疑いがある場合)

消費者庁が運営する全国共通番号で、詐欺被害契約トラブルなどを幅広く相談できます。「いやな予感がする」「もしかしてだまされたかも」と思ったら、迷わず188へ電話してください。最寄りの消費生活センター消費生活相談窓口へ案内されます。

詐欺電話による被害の初期段階でも相談可能で、早めに行動することで被害拡大を防ぐことができます。

各都道府県警察本部の特殊詐欺対策窓口やサイバー犯罪相談窓口

特殊詐欺サイバー犯罪に特化した専門窓口も全国に設置されています。詐欺グループの電話メールSNSを使った勧誘など、どんな内容でも相談できます。公式サイトから直接メールでの問い合わせも可能です。

最近はAI音声や海外発信など、手口が多様化しています。自分では判断できない場合でも、警察が適切にアドバイスをしてくれます。

まとめ|警察から電話がかかってきたらどうする?安心して対処するためのポイント

警察を名乗る電話がかかってきたときに最も大切なのは、「焦らず、すぐに信じない」ことです。本物の警察官であれば、必ず名乗り方や手順が丁寧で、金銭や個人情報を求めることは決してありません。

逆に、焦らせる・脅す・今すぐ対応を求めるような電話はすべて詐欺の可能性があります。まず深呼吸して、相手の所属と名前を確認し、一度電話を切ってから自分で公式番号にかけ直しましょう。

不安を感じたら#9110や消費者ホットライン188に相談することも大切です。相談をためらうより、少しでも気になるならすぐに確認を。あなたの冷静な判断が、家族や大切な人を守る力になります。

突然の電話に驚くのは当然ですが、この記事で学んだ知識を思い出せば、落ち着いて対応できるはずです。詐欺師の手口は巧妙でも、正しい知識があれば必ず防げます。今日から、あなたの電話対応力を一段と高めていきましょう。