日常の中の「もしも」に備える法律ノート

大麻と知らずに使った場合の法的責任とは|処罰されるケースとされないケース

「大麻だとは思わなかった」「違法なものだと知らずに使ってしまった」。このような状況でも、法的な責任を問われるのか不安に感じる人は少なくありません。近年、日本では大麻に関する法律が改正され、これまで以上に「知らなかった」では済まされない場面が増えています。

しかし、すべてのケースで一律に処罰されるわけではありません。実際には、使った経緯本人の認識周囲の状況によって判断が大きく分かれるのが現実です。

  この記事では、大麻と知らずに使ってしまった場合に罪になるのか、どのような場合に処罰され、どのような場合に処罰されない可能性があるのかを、できるだけ分かりやすく解説していきます。

大麻と知らずに使った場合でも罪になるのか

この章では、「知らずに使った」という事情がどの程度考慮されるのか、その基本的な考え方を整理します。結論から言うと、必ずしも無罪になるわけではなく、判断はケースごとに行われます

故意があると判断されると罪になるから

  日本の刑法では、原則として「故意」、つまり分かっていて行った行為が処罰の対象になります。大麻についても同じで、大麻だと認識しながら使用したと判断されれば、処罰される可能性が高くなります。

たとえ本人が「知らなかった」と主張していても、状況証拠から知っていた、あるいは気づいていたはずと判断されると、故意があったと評価されてしまうことがあります。

  例えば、違法薬物だと分かっていそうな場所や人物から受け取っていた場合、その点が不利に働くこともあるでしょう。

このように、言葉だけでなく行動全体が見られる点が重要ではないでしょうか。

故意がなければ処罰されない可能性があるから

一方で、本当に大麻だと知らず、違法性を認識できなかった場合には、処罰されない可能性も残されています。これを「故意がない」と評価できるかどうかが大きな分かれ目になります。

  例えば、合法だと信じる十分な理由があり、疑う余地がなかった場合には、刑事責任を問うのは難しいと判断されることもあります。

ただし、「知らなかった」と言えば必ず通るわけではありません。その主張が客観的に見て自然かどうかが厳しく確認されます。

  自分の思い込みだけではなく、周囲の事情と合っているかが重要だと言えるでしょう。

状況次第で警察の判断が分かれるから

実務の現場では、警察検察が個別の事情を細かく見て判断します。そのため、同じ「知らなかった」という主張でも、結果が異なるケースが存在します。

使用した場所入手経路本人の年齢経験など、さまざまな要素が総合的に考慮されます。

特に、説明に無理がないか、話が一貫しているかは重要なポイントです。

  ここまでの内容からも分かるように、単純に白黒が分かれる問題ではないことが理解できるのではないでしょうか。

日本の大麻に関する法律の基本

次に、日本では大麻がどのような法律で規制されているのか、その基本を確認します。法律の仕組みを知ることで、なぜ判断が厳しくなるのかが見えてきます。

大麻取締法で大麻の所持や使用が規制されているから

  日本では、大麻に関する規制は主に大麻取締法によって定められています。この法律では、大麻の所持や譲渡、栽培などが厳しく禁止されてきました。

これまでは「使用」そのものについて明確な処罰規定がない点が特徴でしたが、所持していれば結果的に処罰されるため、実質的には使用も問題視されてきた経緯があります。

つまり、法律上は細かな違いがあっても、社会的には大麻は明確な違法薬物として扱われてきたと言えるでしょう。

この前提を知らずにいると、判断を誤ってしまう可能性が高まります。

2024年の法改正で使用も処罰対象になったから

  2024年法改正により、日本では大麻の「使用」自体も明確に処罰の対象となりました。この点は非常に重要で、以前の感覚のままでいると大きな誤解を生みます。

法改正後は、所持していなくても、体内から大麻成分が検出されれば問題になる可能性が出てきました。

「使っただけなら大丈夫」という考えは、もはや通用しないという点は、強く意識しておく必要があります。

  この改正によって、「知らなかった」という主張も、より厳しく見られる傾向が強まっています。

大麻と指定薬物は別の法律で管理されているから

  混同されがちですが、大麻指定薬物は別の法律で管理されています。指定薬物は主に医薬品医療機器等法によって規制されています。

この違いを理解していないと、「合法だと思っていた」という主張が弱くなってしまう場合があります。

特に海外では合法な大麻製品も多く、日本に持ち込んだり使用したりすると違法になるケースが少なくありません。

  日本独自の厳しい規制がある点を、正しく理解しておくことが重要ではないでしょうか。

「知らなかった」が認められないケース

ここからは、「知らなかった」という言い分が通りにくい代表的なケースを見ていきます。自分が当てはまらないか、冷静に考えることが大切です。

大麻の可能性を分かっていて使ったと判断されるから

  「もしかしたら大麻かもしれない」と思いながら使った場合、完全に知らなかったとは言えません。このようなケースでは、故意があったと判断されやすくなります。

違法かもしれないという認識が少しでもあれば、それを無視して使った時点で責任を問われる可能性が高まります。

あいまいな理解のまま行動することは、法的には非常に危険です。

自分の中で納得できない点があったなら、使用を避けるべきだったと評価されるでしょう。

見た目やにおいから大麻と分かる状況だったから

  大麻特有の見た目やにおいは、経験がなくても違和感を覚える場合があります。そのような状況で使用していれば、「気づけたはず」と判断されることがあります。

特に、紙巻きや乾燥した葉の形状など、一般的なイメージと一致している場合は注意が必要です。

五感で分かる特徴があったかどうかは、捜査でも重要なポイントになります。

結果として、「知らなかった」という主張が弱くなってしまう可能性があるのです。

過去の使用経験から知っていたと判断されるから

  過去に大麻を使った経験がある場合、「今回も分かっていたのではないか」と疑われやすくなります。本人が否定しても、経歴が影響することは避けられません。

以前の経験から、においや効果を知っていると判断されることもあります。

このような事情があると、知らなかったという説明に説得力を持たせるのは難しくなります。

  過去の行動が現在の判断に影響する点は、軽視できないポイントでしょう。

「知らなかった」が認められる可能性があるケース

一方で、状況によっては「大麻だとは本当に知らなかった」と判断される可能性もあります。この章では、比較的認められやすいとされる代表的なケースを整理します。

合法なものだと信じる合理的な理由があるから

大麻と知らずに使ったと主張する場合、その認識に合理性があるかどうかが重要になります。単なる思い込みではなく、そう信じても無理はない事情があるかが問われます。

  例えば、信頼できる第三者から「合法だ」と説明され、その説明を疑う事情がなかった場合などが考えられます。

購入場所説明内容価格帯なども含めて、不自然さがなければ主張が通りやすくなる傾向があります。

合理的な理由があるかどうかは、第三者の目線で判断される点を意識する必要があるでしょう。

第三者に混入されるなど予測できない事情があるから

  自分の意思とは関係なく、大麻成分が混入されていた場合には、処罰されない可能性が高まります。代表的なのが、飲食物やたばこに勝手に混ぜられていたケースです。

このような場合、本人が注意していても防げなかったと評価されることがあります。

ただし、本当に予測できなかったのか、注意義務はなかったのかが慎重に検討されます。証拠や周囲の証言が重要になる場面だと言えるでしょう。

成分表示を信じて使用したCBD製品だったから

  近年増えているのが、CBD製品に関するトラブルです。CBD自体は合法ですが、製品によっては微量の大麻成分が含まれている場合があります。

成分表示を確認し、合法だと信じて使用していた場合には、故意が否定される可能性があります。

特に、正規に販売されていた商品であれば、その点は有利に働くでしょう。

  ただし、すべてのCBD製品が安全とは限らない点には注意が必要です。

処罰されるかどうかを分けるポイント

ここまで見てきた内容を踏まえ、処罰されるかどうかを左右する重要なポイントを整理します。これらは捜査や裁判で特に重視される点です。

大麻だと認識していたかどうかだから

  最も重要なのは、使用時点で大麻だと認識していたかどうかです。この点は、供述だけでなく客観的な証拠から判断されます。

周囲の状況や行動履歴から、「知らなかった」と言えるかが検討されます。

本人の言葉だけでは足りない場合も多いのが現実です。日頃の行動が結果的に影響することもあるでしょう。

使用に至るまでの経緯が不自然かどうかだから

  どのように入手し、なぜ使用するに至ったのか、その流れが自然かどうかも重要です。不自然な点が多いと、疑いが強まります。

説明が二転三転すると、信用性が低く評価されてしまいます。

  一貫した説明ができるかどうかが、大きな分かれ目になります。

冷静に事実を整理することが求められる場面です。

証拠や供述に矛盾がないかどうかだから

  証拠と供述の内容が一致しているかも重要な判断材料です。スマホの履歴や周囲の証言と食い違いがあると、不利になります。

小さな矛盾でも積み重なると、大きな問題になります。

正確に事実を伝える姿勢が、結果を左右することも少なくありません。

  そのためにも、軽率な発言は避けるべきでしょう。

警察や裁判では何を調べられるのか

実際に警察の捜査や裁判になった場合、「知らなかった」という主張がどのように検証されるのかが気になるところでしょう。この章では、具体的に調べられるポイントを解説します。

尿検査や鑑定で大麻成分が検出されるかどうかだから

まず行われるのが、尿検査や血液検査などによる成分の確認です。体内から大麻成分が検出されれば、使用の事実自体は強く裏付けられます。

  ここで重要なのは、「使ったかどうか」「分かって使ったかどうか」が別の問題だという点です。

検査結果だけで直ちに故意が認定されるわけではありません。

しかし、使用時期や量の推定に使われることもあり、判断材料の一つになるのは確かです。

スマホやSNSのやり取りを確認されるから

近年の捜査では、スマートフォンの中身が非常に重視されます。SNSやメッセージアプリでのやり取りから、認識や意図が推測されることがあります。

  例えば、「キマる」「ヤバい」などの表現があれば、不利に解釈される可能性も否定できません。

逆に、合法だと信じていたことが分かるやり取りがあれば、有利な材料になることもあります。

  何気ない会話が証拠になる点は、強く意識しておく必要があるでしょう。

供述内容の一貫性が重視されるから

  警察や検察は、供述の一貫性を非常に重視します。最初の説明と後の説明が食い違うと、信用性が下がってしまいます。

緊張や不安から、つい話を変えてしまう人も少なくありません。

しかし、その小さなズレが「本当は知っていたのではないか」という疑いにつながります。

落ち着いて、事実だけを正確に伝えることが何より重要だと言えるでしょう。

大麻と知らずに使ってしまった場合の正しい対処法

万が一、大麻と知らずに使ってしまった疑いをかけられた場合、どのように行動するかで結果が大きく変わることがあります。ここでは、冷静に取るべき対応を整理します。

その場で安易に認めないことが大切だから

  警察から質問を受けた際、焦って曖昧な返事をしたり、流れで認めてしまうのは非常に危険です。

理解しないまま署名や供述をすると、後から訂正するのが難しくなります。

分からないことは分からないとはっきり伝える姿勢が大切です。

その場の空気に流されない冷静さが求められます。

早めに弁護士へ相談する必要があるから

  薬物事件では、早い段階で弁護士に相談することが極めて重要です。対応を誤ると、不利な状況を自ら作ってしまうことがあります。

弁護士は、どの点をどう説明すべきか、逆に話すべきでない点を整理してくれます。

「大したことではない」と自己判断するのは危険です。

  専門家の助言を受けることで、適切な対応が可能になるでしょう。

使用に至った経緯を整理して説明するためだから

  自分がどのような経緯でその物を使ったのか、時系列で整理することが重要です。あいまいな説明は疑いを強めてしまいます。

誰から入手したのか、どんな説明を受けたのか、どのように感じていたのかを冷静に振り返る必要があります。

整理された説明は、信頼性を高める材料になります。

  感情ではなく事実を伝える意識が大切ではないでしょうか。

大麻と知らずに使った場合の法的責任・処罰されるケースとされないケースのまとめ

大麻と知らずに使った場合でも、必ずしも処罰されないとは限りません。重要なのは、使用時に大麻だと認識していたかどうかその認識に合理性があるかどうかです。

  2024年の法改正により、使用自体も処罰対象となった今、「知らなかった」という主張は以前より厳しく見られるようになっています。

一方で、合理的な理由や予測できない事情があれば、処罰されない可能性も残されています。

  万が一の際には、冷静に行動し、早めに専門家へ相談することが、自分を守る最善の選択だと言えるでしょう。