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起訴されたらすること|弁護士相談・示談・保釈請求など重要な対応を解説

突然の逮捕や起訴は誰にとっても衝撃的な出来事です。自分や家族が起訴された場合、何をどうすればよいのか、冷静に判断することは簡単ではありません。しかし、対応を誤ると、その後の人生に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

本記事では、起訴された際にまず考えるべき弁護士への相談から、示談交渉、保釈請求の手続き、さらには家族ができる支援方法までをわかりやすく解説します。刑事手続きの流れを理解し、適切に対応するための知識を身につけましょう。

誰もが当事者になる可能性がある「起訴」。そのとき、どう動くかで未来が大きく変わります。

起訴されたらすることとして最初に考えるべき弁護士相談の重要性とは?

起訴後の対応には専門的な知識と経験が必要です。まず最初にすべきことは、弁護士への相談です。ここでは、なぜ弁護士相談が重要なのかを詳しく解説します。

弁護士に早く相談すべき理由

起訴されたらすぐに弁護士に相談することが重要です。その理由は、起訴後の対応の内容によって、処分や判決が大きく変わる可能性があるからです。例えば、証拠の確保、示談の開始、勾留延長の防止など、初動の早さが結果に直結します。

さらに、弁護士は被告人の法的権利を守る役割を担います。専門知識がないと、自分の不利になる供述をしてしまうこともあるため、弁護士を通じて適切なアドバイスを受けることが不可欠です。

何より、精神的な安心感を得るという意味でも、弁護士の存在は非常に大きなものです。

勾留や取り調べを抑える役割

弁護士は、裁判所や検察に対して勾留の理由がないことを主張し、勾留延長を防ぐ働きもします。勾留中の取り調べに対しても、黙秘権の行使や供述の注意点を指導することで、被疑者の不利益を最小限に抑えるサポートをします。

取り調べでの発言は証拠として使われることがあるため、慎重に対応する必要があります。弁護士の介入により、違法・不当な取り調べを受けるリスクも軽減されます。

また、接見(面会)を通じて外部との連絡をサポートし、家族とのつながりを維持することも可能です。

示談や保釈の準備を始められる

弁護士に相談することで、起訴後でも示談交渉や保釈請求の準備をすぐに始めることができます。迅速に動くことで、被害者への誠意を示すと同時に、裁判での評価を良くすることも期待できます。

示談書の作成や裁判所への提出手続き、身元引受人の確保など、弁護士を通じて効率よく進められる点がメリットです。

こうした動きが判決にも影響するため、早い段階で弁護士に依頼することが非常に重要です。

起訴されたらすることとしての示談交渉の流れと注意点

起訴された場合でも、被害者との示談交渉によって処分が軽くなる可能性があります。ここでは、示談の流れと注意点について解説します。

弁護士を通じて被害者と話すから安全

示談交渉は加害者本人が直接行うのではなく、必ず弁護士を通じて行うべきです。直接の接触は脅迫や圧力と誤解されかねず、かえって不利になる可能性もあります。

弁護士が間に入ることで、公平性と法的正当性を確保でき、トラブルを回避できます。特に被害者が未成年であったり、感情的な対立が強い場合には、第三者の介入が不可欠です。

弁護士は示談金の相場や文面の作成なども熟知しており、スムーズな進行を可能にします。

示談が成立すれば処分が軽くなる

示談が成立すれば、裁判所は被告人の反省や被害者の許しを考慮し、刑を軽くする傾向があります。場合によっては起訴猶予や執行猶予が付く可能性もあります。

特に初犯であり、被害者の損害が回復されたと判断されると、情状酌量の対象になることが多いです。示談が成立していることは、被告人の社会復帰への意欲を示す材料にもなります。

そのため、示談交渉は早期に、誠意をもって取り組むことが重要です。

示談成立後に示談書を裁判所に出せる

示談が成立した際には、弁護士が示談書を作成し、それを裁判所に提出することが可能です。この書類は裁判での証拠として使用され、被告人にとって有利な事情を裏付ける重要な資料になります。

示談書には、被害者が許す意思を示した内容や、示談金の支払いに関する詳細が記載されます。この内容がしっかりと確認されることで、裁判官が処分の判断材料とするのです。

示談書は私文書として扱われますが、弁護士が関与することで信頼性が高まり、裁判所でも重く受け止められます。

起訴後でも示談は有効な手段であるため、最後まで諦めずに交渉を進めることが大切です。

起訴されたらすることでできる保釈請求の手続きと成功のポイント

勾留が続いている場合、起訴された後には保釈を申請することができます。ここでは保釈請求の流れと、成功するための重要な要素について解説します。

保釈請求は起訴後すぐできる

保釈請求は起訴後すぐに行うことができます。起訴前の段階では保釈制度は原則として利用できませんが、起訴後であれば法律上の根拠に基づいて保釈を申請することが可能になります。

保釈を申請するには、弁護士を通じて裁判所に書類を提出します。通常、申請から数日以内に判断が下され、認められればすぐに釈放されます。

保釈が認められた場合、保証金を支払うことで一時的に釈放され、裁判中は自宅で生活できます。

この保釈中に、弁護士とともに裁判への準備を進めることができるため、大きなメリットがあります。

権利保釈と裁量保釈の違い

保釈には「権利保釈」と「裁量保釈」があります。権利保釈は、法律上の条件を満たせば誰でも保釈が認められる制度です。被告人に逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば、保釈は拒否されません。

一方、「裁量保釈」は裁判官の判断に委ねられます。証拠が複雑だったり、共犯者がいるなどの事情がある場合には、裁量で保釈が認められるかが決まります。

どちらの保釈も、適切な手続きと弁護士の戦略が重要となります。特に裁量保釈は理由書の内容や家族の協力がカギになります。

保釈の可能性を高めるには、示談の成立や再犯リスクの低さをアピールすることが求められます。

保釈に成功するには:示談成立や身元引受人の確保が重要

保釈の可否を左右する大きな要素は「示談の成立」と「身元引受人の存在」です。被害者との示談が成立していれば、被告人が社会的に反省していることが示され、裁判所も保釈に前向きになる傾向があります。

また、身元引受人とは、保釈中に被告人が逃亡や再犯をしないように監督する役割を持つ人物で、多くは家族が引き受けます。この人物がしっかりしているかどうかが、保釈の審査において大きく影響します。

さらに、保釈保証金の金額も成功のカギです。裁判所が設定する金額を即座に用意できるかがポイントとなるため、事前の準備も重要です。

弁護士はこうした条件を整えるためのサポートを行い、保釈の実現を目指します。

起訴されたらすることは何がある?流れを時系列でわかりやすく解説

ここでは、起訴された後に何をすべきか、どのような流れで手続きが進むのかを時系列で説明します。状況を把握することで、適切な判断がしやすくなります。

①起訴後は被疑者から被告人になる

検察によって正式に起訴されると、「被疑者」という立場から「被告人」となります。これは刑事手続きが「捜査段階」から「公判段階」に進むことを意味します。

被告人には弁護人を選任する権利があり、法廷での弁護活動を受けることが可能になります。

また、起訴後も引き続き勾留が続く場合があり、この間に保釈申請を行うことができます。

ここでの対応が、判決の重さや有罪・無罪の結果に大きな影響を及ぼすため、慎重な判断が必要です。

②勾留継続か保釈請求かを判断する

起訴後に被告人が引き続き勾留されるか、保釈が認められるかは、状況に応じて異なります。弁護士と相談し、保釈請求の準備を進めるか、勾留中にどのように裁判に備えるかを決定することが重要です。

勾留が継続される場合は、接見禁止の有無によっても外部との連絡方法が変わります。弁護士との接見は認められるため、こまめに情報をやりとりして対応を進めましょう。

保釈請求をする場合は、保証金の準備や身元引受人の確保が必要です。手続きが早ければ早いほど、裁判までの時間を有効に使うことができます。

保釈の可否は裁判官の判断によりますが、準備が整っていれば成功の可能性が高まります。

③示談交渉で減刑・執行猶予を目指す

起訴後でも、被害者との示談交渉は可能です。示談が成立することで、裁判における被告人の情状として有利に働き、減刑や執行猶予の判決が期待できます。

特に初犯で反省の態度を示している場合、示談の成立は大きなポイントになります。示談内容は裁判所に提出し、判決に影響を与える証拠となります。

弁護士を通じて冷静かつ誠実な交渉を行うことが成功への鍵です。金銭の問題だけでなく、謝罪文の提出なども被害者の心情に配慮した対応が求められます。

裁判前に示談がまとまれば、それだけで判決が軽くなる可能性があるため、早期の行動が大切です。

④略式起訴の場合は罰金納付で解放される可能性

事件の内容が比較的軽微な場合、「略式起訴」という簡易な手続きが選択されることがあります。略式起訴とは、公開の法廷を開かずに書面審理で罰金刑を科す制度です。

この手続きが適用された場合、被告人は罰金を納付することで釈放され、裁判を受けることなく事件を終えることができます。

ただし、前科がつく点には注意が必要です。今後の生活や就職に影響を与える可能性があるため、弁護士とよく相談した上で選択する必要があります。

略式起訴はスピーディーな解決方法ですが、内容や今後の影響を慎重に考えることが重要です。

起訴されたらすることと起訴前にできることの違いとは?

起訴前と起訴後では、できる対応や手続きの内容に違いがあります。ここではその違いを整理して、適切な対応を理解しましょう。

起訴前は勾留取り消しや準抗告ができる

起訴前は、勾留されている場合でも「勾留の取り消し」や「準抗告」などを通じて早期の釈放を求めることができます。これらは弁護士が積極的に行う手続きで、証拠や事実関係に基づいて、勾留の不当性を主張します。

また、起訴前であれば検察官が「起訴猶予処分」として起訴しない判断をする可能性もあります。これは、反省の態度や示談成立などが評価された場合に適用されます。

したがって、起訴される前の対応が、事件の将来を大きく左右することになります。

この段階で弁護士に依頼し、適切な主張と証拠の提示を行うことが非常に重要です。

起訴後は保釈請求と示談交渉を進める

一方で、起訴された後は「勾留取り消し」ではなく「保釈請求」や「示談交渉」が中心となります。特に保釈請求は、勾留中の自由を取り戻す唯一の手段です。

また、示談交渉も引き続き可能であり、裁判前に成立させることで刑の軽減を目指すことができます。起訴後の動き次第で、執行猶予付き判決や略式手続きの適用など、処分が大きく変わる可能性があります。

つまり、起訴後の対応は「裁判にどう備えるか」が中心となるのです。

この段階でも弁護士の存在が非常に大きな意味を持ちますので、継続的な相談と準備が不可欠です。

起訴されたらすることの中で家族ができるサポートとは

起訴された本人が自由を制限されている中、家族の支援は精神的・実務的な両面で非常に重要です。ここでは、家族がどのように被告人を支えることができるのかを具体的に解説します。

身元引受人として保釈を支える

保釈の際に必要となるのが「身元引受人」の存在です。家族が身元引受人となることで、裁判所に対して被告人の逃亡や再犯のリスクが低いことを示すことができます。

身元引受人は、被告人が保釈中に規則を守るよう監督する責任を負います。また、保証金の支払いや返還の手続きにも関わるため、信頼性が高い人物であることが求められます。

家庭内での環境が整っていれば、それ自体が保釈を認めてもらうための有利な材料になります。家族の協力が保釈成功のカギを握っているのです。

弁護士と連携して必要書類を準備し、身元引受人としての意思を明確に伝えることが大切です。

接見禁止の状況でも弁護士を通じて面会を助けられる

被告人が勾留中に接見禁止措置が取られることがあります。この場合、家族は直接会うことができませんが、弁護士を通じて間接的な支援が可能です。

弁護士に伝えてもらいたいメッセージや必要な物資などを預けることで、被告人に情報や物を届けることができます。また、弁護士が本人の精神的な不安をやわらげる役割も果たします。

直接面会できなくても、家族の思いは届きます。早く自由になれるよう、家族としてできる限りの支援をしていくことが重要です。

また、接見禁止が解除されるように、弁護士が裁判所に申請することも可能です。

家族の生活を守るため職場や学校に連絡する

起訴された本人が長期間勾留される可能性があるため、家族が代わりに職場や学校に連絡し、状況を説明することも必要です。無断欠勤や無断欠席が続けば、解雇や退学のリスクもあるため、早めの対応が大切です。

その際には、弁護士のアドバイスを受けながら、最小限の情報で事実を伝えるようにしましょう。説明の仕方次第で、相手の受け取り方が変わることもあります。

また、生活費やローンの支払いなど、経済的な問題が発生することもあります。必要に応じて福祉の支援制度なども活用しましょう。

家族の負担は大きいですが、支え合って乗り越えることができれば、裁判後の社会復帰にもつながります。

起訴されたらすることを知る上で知っておきたい刑事裁判の基礎知識

刑事裁判は一般にはなじみのない手続きですが、基本的な流れや仕組みを知ることで、適切な準備と対応が可能になります。ここでは、最低限押さえておくべきポイントを紹介します。

起訴には正式起訴と略式起訴がある

刑事事件での起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。正式起訴は公判請求とも呼ばれ、裁判所で公開の法廷で審理が行われます。

一方、略式起訴は罰金刑で済む軽微な事件に適用され、裁判所が書面審理で処分を決定します。略式であっても前科が付くため、選択には注意が必要です。

いずれの場合も、弁護士と相談しながら今後の方針を決定することが重要です。

事件の内容や証拠の状況、本人の反省の態度などが、どちらの起訴になるかに影響します。

起訴後の勾留に期限がない

起訴前の勾留には最大20日間という上限がありますが、起訴後は勾留の期間に明確な制限がなく、裁判が終わるまで勾留が続く可能性があります。

そのため、保釈請求が重要な意味を持つのです。保釈が認められなければ、数か月単位で身柄を拘束され続けることになります。

特に裁判が長引いた場合には、生活や家族への影響が大きくなるため、弁護士と連携しながら早めに保釈を申請しましょう。

また、勾留中の生活環境や体調にも配慮し、家族からの支援が必要な場合もあります。

99%以上が有罪判決になる

日本の刑事裁判では、起訴された場合の有罪率が99.9%以上と極めて高いことが知られています。つまり、起訴された時点でほとんどのケースで有罪判決が下る可能性が高いということです。

この背景には、検察が十分な証拠を集めてから起訴する方針を取っているため、無罪の見込みが低い事件しか起訴されないという事情があります。

したがって、起訴後は「無罪を争う」よりも「情状酌量を求める」ことに重点を置いた対応が多くなります。

示談や反省の態度、社会的背景をしっかりと主張して、少しでも軽い判決を目指すことが重要です。

起訴されたらすることに関するよくある質問と弁護士の回答

起訴後の対応については、多くの人が疑問や不安を感じます。ここでは、よく寄せられる質問とその回答を弁護士の視点からまとめました。

Q:起訴後でも示談できるの? → A:示談交渉は起訴後も続けられる

はい、起訴後でも示談交渉は可能です。実際に、裁判中に示談が成立することで、判決において情状が考慮され、刑が軽くなる例も多くあります。

ただし、示談の成立は時間がかかることもあるため、できるだけ早い段階から弁護士を通じて交渉を始めることが望ましいです。

また、示談成立後は示談書を裁判所に提出することで、被告人に有利な材料として評価されます。

Q:保釈申請は誰ができる? → A:弁護士や家族でもできる

保釈申請は被告人自身だけでなく、弁護士や家族も申請することができます。実務上は、弁護士が裁判所に申請書類を提出し、保釈の可否を判断してもらう流れが一般的です。

家族が保釈保証金を準備したり、身元引受人として名前を出すなど、積極的な協力が求められます。

保釈申請が却下された場合でも、再度の申請は可能ですので、諦めずに弁護士と相談しながら進めましょう。

Q:保釈保証金はどれくらい? → A:約150万円〜300万円が相場

保釈保証金の金額は事件の内容や被告人の資力によって異なりますが、おおむね150万円〜300万円程度が相場とされています。

この金額は裁判所に一時的に預ける形で支払います。保釈条件を守って裁判が終了すれば、保証金は原則として全額返還されます。

なお、保釈中に逃亡したり、証拠隠滅を図った場合は、保証金が没収されることもあります。

支払いが難しい場合には、親族や知人に援助を求めるか、保釈保証支援制度を活用する方法も検討できます。

Q:略式起訴とは? → A:簡易裁判所で罰金を払って解放される仕組み

略式起訴とは、公開の法廷を開かずに書面による審理で罰金刑を科す制度です。簡易裁判所で行われ、刑罰は10万円以上の罰金となることが一般的です。

この制度が適用されるのは、事件が軽微で、本人が罪を認めている場合に限られます。裁判官が略式での処分が妥当と判断した場合にのみ適用されます。

手続きは簡便ですが、前科が付くことに変わりはないため、弁護士と相談して慎重に判断しましょう。

略式手続きであっても、弁護人のアドバイスを受けることで、より有利な結果につなげることが可能です。

まとめ|起訴されたらすることを正しく知り、弁護士相談・示談・保釈請求に備えよう

この記事では、起訴された際にとるべき行動や手続きの流れについて詳しく解説してきました。起訴後の対応は人生に大きな影響を与えるため、冷静かつ迅速な対応が必要不可欠です。

まず最初に行うべきは、信頼できる弁護士への相談です。専門家のサポートを受けながら、示談交渉や保釈請求の準備を進めていくことが、よりよい結果につながります。

また、家族の協力も非常に重要です。身元引受人や生活支援、情報提供など、周囲のサポートが裁判の成り行きや被告人の再出発を大きく助けます。

「知らなかった」では済まされないのが刑事手続きの現実です。万が一の時に備え、正しい知識を身につけておきましょう。