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売春斡旋とは?法律で禁止される理由と罰則・知らずに関わる危険性を徹底解説

「売春斡旋(ばいしゅんあっせん)」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。ニュースやSNSでも時折取り上げられますが、その具体的な意味や法律上の扱いを正確に理解している人は多くありません。

実は、売春斡旋は単なる「紹介」や「仲介」のつもりでも、内容によっては売春防止法に違反し、刑罰の対象となる非常に重い犯罪です。知らず知らずのうちに関わってしまうケースもあるため、正しい知識を持っておくことが重要です。

この記事では、売春斡旋の定義や法律上の禁止行為、刑罰の内容、そしてSNSなどを通じて巻き込まれやすい事例まで、わかりやすく解説します。

売春斡旋とはどんな行為を指すのか

ここでは「売春斡旋」という言葉の意味を正確に理解し、どのような行為が法律上の「斡旋」にあたるのかを整理していきます。

斡旋・周旋(あっせん)の意味と違い

「斡旋」とは、他人同士の間に立って取引や交渉を成立させるために働きかける行為を指します。たとえば、就職先を紹介する「職業斡旋」などがその典型です。一方で「周旋(しゅうせん)」は、やや古い言葉ですが、意味としてはほぼ同じで「間に立って取り持つこと」を意味します。

売春防止法では「斡旋」も「周旋」もどちらも禁止対象です。つまり、単に男女を紹介しただけでも、もしそれが売春を目的とする場合には「売春の斡旋行為」として処罰の対象になります。

ここで重要なのは、「お金が発生するかどうか」や「本人が売春の意図を持っていたかどうか」に関係なく、結果的に売春の機会を作るような行為をした時点で法律違反になる点です。

たとえば「知り合いを紹介しただけ」という軽い気持ちでも、相手が金銭を介して性行為を行えば、紹介者にも責任が及ぶおそれがあります。

斡旋行為の典型例:仲介・交渉・取り次ぎ

売春斡旋にあたる行為にはいくつかの典型例があります。最も代表的なのは「仲介」や「取り次ぎ」です。たとえば「お金を払えば会える女性を紹介する」「条件交渉を代わりに行う」「LINEグループを作って男性と女性をつなぐ」などが該当します。

また、売春希望者と客をマッチングするようなウェブサイトの運営や、掲示板への投稿代行なども斡旋行為とみなされる可能性があります。

さらに、「友人に頼まれて男性を紹介しただけ」という場合でも、売春の結果に結びついた場合は違法です。つまり、自分が直接お金を受け取らなくても罪に問われることがあるという点が非常に注意すべきポイントです。

警察はこのような行為を「売春の機会を提供した」として摘発します。特にSNSでの紹介・仲介は証拠が残りやすく、摘発件数も増加傾向にあります。

「勧誘」と「斡旋」の関係性

「売春の勧誘」と「売春の斡旋」は似ていますが、法律上は異なる行為として区別されています。「勧誘」は相手に売春をするよう呼びかける行為であり、「斡旋」はその実現を助ける行為です。

つまり、勧誘は「誘う」、斡旋は「つなぐ」行為だと考えるとわかりやすいでしょう。どちらも売春防止法で明確に禁止されていますが、斡旋のほうがより積極的に関与するため、処罰が重くなります。

たとえば「お金になるからやってみなよ」と誘うのが勧誘、「そのお客さん紹介してあげるよ」と行動に移すのが斡旋です。どちらも社会的に悪影響を及ぼす行為として、厳しく取り締まられています。

また、勧誘と斡旋はセットで行われることも多く、警察が捜査を行う際には両方の行為を立証して逮捕・起訴するケースもあります。

売春防止法で禁止されている行為の種類

売春防止法では、「売春を行うこと」そのものよりも、売春を助長・仲介・強制する行為を厳しく処罰しています。ここでは、法律の条文に基づいて主な禁止行為の内容を見ていきましょう。

売春の勧誘行為(第5条)

第5条では「公共の場所などで、売春を勧誘してはならない」と定められています。たとえば、街中やSNSで「お金をくれたら会う」「援助交際希望」などと呼びかける行為が該当します。

この勧誘行為に対しては、6か月以下の懲役または1万円以下の罰金が科されます。SNSやマッチングアプリ上での投稿も含まれるため、ネット上での発言にも注意が必要です。

一見軽い発言のようでも、内容によっては「売春の勧誘」として犯罪と認定されるおそれがある点を覚えておきましょう。

売春の斡旋・周旋行為(第6条)

第6条では「売春の相手方を紹介したり、売春を行うよう取り持ったりする行為」、つまり売春の斡旋や周旋を明確に禁止しています。この条文こそが「売春斡旋罪」と呼ばれる根拠です。

売春防止法第6条第1項には次のように規定されています。

売春を行う相手方をあっせんし、又は売春を行うように周旋した者は、2年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
引用:売春防止法(e-Gov法令検索)

つまり、売春の交渉や紹介を手助けする行為そのものが犯罪とされ、実際に売春が成立しなくても、斡旋の意図準備行為が確認されれば罪に問われる可能性があります。

この点からも、「紹介しただけ」「掲示板に投稿しただけ」という弁明は通用しません。警察はSNSのDMやLINEの履歴なども証拠として押収し、事実関係を細かく追及します。

困惑・欺き・暴行などによる強制(第7条等)

第7条では、暴行・脅迫・欺き・困惑を利用して売春を強制する行為を禁止しています。いわゆる強制売春や人身売買に関する条項であり、非常に重い罪に問われます。

この条項では「人の自由意思を奪って売春をさせること」が本質的な問題です。たとえば「借金を返すために働け」「家族にばらす」と脅して性行為を強要する行為も該当します。

こうした行為は、売春防止法だけでなく刑法の強要罪・監禁罪・人身売買罪などにも抵触する可能性が高く、複数の罪状が同時に適用されるケースもあります。

刑罰は10年以上の懲役となる場合もあり、非常に重い法的責任を負うことになります。

前貸し・契約・場所提供・管理売春など(第9〜第12条)

第9条以降では、売春に関する周辺行為――資金援助や場所の提供、雇用契約を通じた売春の管理――といった行為も厳しく処罰されています。

たとえば「売春する女性に前金を渡す」「売春のためにマンションやホテルの部屋を貸す」「店舗として売春を管理する」などがこれにあたります。

これらの行為は、単に「助けた」つもりでも売春を助長した行為とみなされます。管理売春や場所提供は特に罪が重く、3年以上の懲役となるケースもあります。

このように、売春に関わる行為は直接・間接を問わず幅広く禁止されており、「知らなかった」では済まされないのが現実です。

売春斡旋が犯罪になる理由と社会的な影響

なぜ売春斡旋は、ここまで厳しく処罰されるのでしょうか。そこには人の尊厳を守り、性を商品化しない社会を維持するためという重要な目的があります。

人の尊厳を侵す行為としての犯罪性

売春斡旋が罪とされる最大の理由は、人の尊厳を軽視する行為だからです。金銭と引き換えに性的行為を仲介することは、人を「モノ」として扱うことに他なりません。

日本の法体系では「人は尊重されるべき存在」という基本的人権の理念が重視されており、これに反する行為を許すことは社会秩序の崩壊につながります。

特に斡旋行為は、他人の性を金銭目的で利用するという構造を生み出すため、道徳的・倫理的にも問題が大きいとされています。

そのため、売春そのものよりも「売春をさせる・助ける」側の罪が重く設定されているのです。

性暴力・人身売買との関連性

売春斡旋は、単なる違法行為にとどまらず、性暴力や人身売買の温床にもなります。とくに女性や未成年が巻き込まれるケースでは、心理的支配や暴力、詐欺的手口が使われることが多いです。

国際的にも、人身売買防止に関する条約(パレルモ議定書など)で、売春の斡旋は人身取引の一形態とみなされています。

一度関わると抜け出せなくなる被害者も多く、心身ともに深刻なダメージを受けることがあります。社会全体としても、こうした構造を放置すれば性的搾取が常態化するおそれがあります。

そのため、売春斡旋は個人の問題ではなく、人権と社会正義の問題として捉えられているのです。

社会秩序・健全な風俗への悪影響

売春が横行すると、地域の治安や風紀が乱れ、暴力団や反社会的勢力の資金源にもなります。特に都市部では、裏風俗や闇サイトを通じて売春組織が活動している例もあり、社会問題となっています。

また、インターネット上では匿名性を悪用して売春を持ちかけるケースが増加し、警察による摘発も強化されています。

健全な社会を維持するためには、こうした違法行為を根絶することが不可欠です。つまり、売春斡旋を「個人の自由な取引」と見るのではなく、社会秩序を破壊する行為として理解する必要があります。

国や自治体が啓発活動や摘発を行っているのも、このような社会的背景があるためです。

売春斡旋をした場合の刑罰と罰則内容

売春斡旋を行った場合、どのような刑罰が科されるのかを具体的に見ていきましょう。ここでは売春防止法の条文をもとに、斡旋罪や勧誘罪、場所提供罪などの刑罰内容を整理します。

斡旋罪の法定刑(2年以下の懲役または5万円以下の罰金)

前述したとおり、売春防止法第6条では斡旋・周旋行為を「2年以下の懲役または5万円以下の罰金」と定めています。実際の刑の重さは、行為の悪質性や被害者の年齢、関与の度合いによって判断されます。

たとえば、単発の紹介であっても金銭授受が発生していれば重く処罰されますし、継続的に仲介を行っていた場合は実刑判決が下されることもあります。

また、SNSを通じた投稿やグループ運営でも、複数人の売春をあっせんしていたと認定されれば、組織的犯罪として扱われることもあります。

これらの点からも、軽い気持ちで「紹介」や「つなぎ役」を引き受けることが、どれほど危険かがわかるでしょう。

勧誘罪・客待ち罪の刑罰(6か月以下の懲役または1~2万円以下の罰金)

売春の勧誘行為に関しては、売春防止法第5条に基づき6か月以下の懲役または1万円以下の罰金が科されます。また、公共の場所で客を待つ、いわゆる「客待ち」行為に関しても同様の刑罰が規定されています。

一見すると軽い罰のように思えますが、警察に検挙されると前科がつくため、就職や進学に大きな支障をきたすことがあります。

また、SNSやマッチングアプリでの投稿も「公共の場所での勧誘」とみなされることがあるため、インターネット上での軽率な発言が刑事罰に発展する可能性がある点に注意が必要です。

さらに、複数回同様の行為を行っていた場合や、未成年を勧誘していた場合は悪質性が高いと判断され、罰金ではなく実刑判決が下されることもあります。

場所提供罪・管理売春罪などの重い罰則

売春行為を行うための場所を提供した場合、売春防止法第10条・第11条により3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。特に、売春を管理する立場にある者や店舗を経営している者は「管理売春罪」としてより重く処罰されます。

管理売春とは、他人の売春行為を監督・指揮・助長する行為全般を指します。たとえば、店長や経営者が「この時間に接客して」「料金をこう設定して」などと指示している場合は、明確に管理売春と認定されます。

また、実際の性行為が確認されなくても、営業目的で性的サービスを提供する仕組みを作っていた時点で罪に問われる可能性があります。

このような罪に問われると、懲役刑だけでなく事業停止命令や営業許可の取り消しなど、社会的な制裁も非常に大きいといえるでしょう。

児童関連斡旋の特例罰則(児童買春周旋罪など)

未成年、特に18歳未満を対象とする売春斡旋は、売春防止法ではなく児童買春・児童ポルノ禁止法によってさらに厳しく罰せられます。

同法では、「児童買春周旋罪」として5年以下の懲役または500万円以下の罰金が定められています。また、児童の年齢を知らなかったとしても、過失が認められれば処罰されるケースもあります。

児童買春に関与した場合、その罪は非常に重く、社会的信用の喪失は避けられません。さらに、児童相談所や家庭裁判所を通じて民事的な責任も追及される可能性があります。

近年ではSNSを介した未成年の性的搾取が問題化しており、警察は監視を強化しています。未成年を介した紹介や広告行為は、たとえ冗談や遊び半分であっても絶対に行ってはいけません。

「知らなかった」では済まされない!関わってしまうケース例

売春斡旋に関わる人の多くが「そんなつもりはなかった」「知らなかった」と話すといわれています。しかし、法律上は結果的に売春の機会を作ったかどうかで判断されるため、意図がなかったとしても罪に問われることがあります。

知人から「ちょっと手伝って」と言われて仲介するケース

たとえば、「困っている友達にお金を貸す代わりに誰か紹介して」と頼まれ、男性を紹介してしまった場合。これも明確な売春斡旋にあたる可能性があります。

本人が「恋愛関係になるかもしれない」と思っていても、実際に金銭授受が行われれば売春と認定されることがあります。

こうしたケースでは、紹介料を受け取らなくても、仲介行為自体が犯罪とみなされる点がポイントです。

つまり、善意のつもりで「助けた」行為が、結果的に犯罪に該当してしまうケースが少なくないのです。

SNSや出会い系で斡旋を頼まれる・広告を出すケース

「この子紹介して」「稼げる仕事ある?」といったSNSのメッセージをきっかけに、軽い気持ちで仲介してしまうケースも後を絶ちません。特に、出会い系サイトやマッチングアプリ上での広告行為は、警察が重点的に取り締まっています。

もし自分のアカウントを通じて他人が売春行為を行った場合、アカウントの管理者自身が斡旋行為をしたとみなされることがあります。

また、「会員紹介」「登録サポート」などの名目で金銭を受け取っていた場合、実質的に売春の媒介業を営んでいると判断され、さらに重い罪に問われるおそれもあります。

近年では、SNSを通じて無意識のうちに犯罪行為に加担するケースが増えているため、投稿内容ややり取りには細心の注意が必要です。

風俗店運営・キャスト管理の場で黙認・助言するケース

風俗店などの運営に関わる人が、スタッフやキャストに対して「お客さんの要望には柔軟に対応して」などと指示する行為も、売春斡旋とみなされる場合があります。

たとえ店舗のサービス内容として「性的行為は禁止」としていても、実際に店内や外部で売春が行われており、運営側がそれを黙認していた場合は管理売春罪の対象です。

また、キャストに「指名客と外で会えば稼げる」などと助言した場合も、間接的な斡旋行為とみなされることがあります。

このようなケースは実際に摘発例も多く、店長や経営者だけでなく従業員も処罰される場合があります。

インターネットやSNSでの売春斡旋トラブルに注意

現代では、SNSやマッチングアプリなど、誰でも簡単に人とつながれる環境があります。しかし、この便利さが裏目に出て、売春斡旋に巻き込まれるリスクも増加しています。

SNS投稿で「援助交際募集」に関わる危険性

Twitter(現X)やInstagramなどで見られる「援助交際募集」の投稿は、ほとんどが売春斡旋や勧誘行為に該当します。投稿をリツイートしたり、第三者に紹介したりするだけでも、斡旋の一部とみなされる可能性があります。

警察はSNSの監視体制を強化しており、過去の投稿やDM履歴も捜査対象となります。実際に、SNSで「紹介」や「宣伝」を行っただけで逮捕された事例も報告されています。

また、アカウントを削除しても履歴は完全に消えないため、デジタル証拠として摘発されるケースが増えています。

そのため、SNS上で「援交」「パパ活」などの言葉を使うことは非常にリスクが高く、犯罪の入り口になり得る行為です。

出会い系サイト・マッチングアプリ経由でのあっせん誘導

出会い系サイトやマッチングアプリでは、男女の出会いを目的とした健全な利用も多い一方で、売春斡旋の温床になっている側面もあります。特に「パパ活」「交際クラブ」などの言葉を使った募集投稿は、実質的に売春行為の仲介と判断されることが少なくありません。

アプリ上で「お金をくれる人を探している」「会うだけでお手当をもらえる」といったやり取りを行うことは、売春の勧誘・斡旋行為に該当する可能性があります。

また、管理者がこうした投稿を削除せずに放置していた場合、サイト運営者自体が売春の媒介を助長したとみなされるリスクもあります。

警察は出会い系業者にも監視義務を課しており、違反があればサイトの閉鎖命令や摘発が行われます。つまり、利用者だけでなく運営側も責任を問われる点を理解しておく必要があります。

匿名性・仮名アカウントを使った誘導の手口

インターネット上では、匿名性を悪用して売春の斡旋を行う手口が巧妙化しています。SNSでは仮名アカウントやサブアカウントを使い、「安全」「個人間契約」などと偽って違法なやり取りを行うケースも多く見られます。

また、DMで「条件交渉」「会う日程」などを取り決める手口も典型的です。投稿上は一見 harmless に見えても、裏で金銭が絡むとすぐに犯罪行為に発展します。

特に未成年を巻き込む場合は、児童買春・人身売買などより重い罪に発展することもあり、非常に危険です。

匿名であっても、警察は通信履歴やIPアドレスをたどることで容易に特定できます。つまり、「バレない」「匿名だから大丈夫」と思っていても、実際には逃れることはできないのです。

未成年が巻き込まれるケースとその危険性

売春斡旋で最も深刻なのが、未成年が巻き込まれるケースです。未成年者は判断力や社会経験が未熟で、SNSなどで甘い言葉に誘われやすい傾向があります。

児童買春の法律と未成年保護の特例

児童買春・児童ポルノ禁止法では、18歳未満の児童を相手に金銭を介して性的行為をする、またはそれを仲介することを絶対的に禁止しています。

この法律では、児童の「同意」があったとしても売春行為をさせた時点で犯罪が成立します。つまり、「本人が望んでいた」という言い訳は通用しません。

また、児童を売春に関与させた場合、その仲介者は5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます。被害者が児童であることを知らなかったとしても、確認を怠った場合には過失が問われる可能性もあります。

社会全体で未成年を保護するために、このように厳しい法制度が設けられているのです。

親や学校に秘密にされてしまうリスク

未成年者が売春に関与してしまうケースでは、本人が「親に知られたくない」「学校にバレたくない」と考えて、事態を隠してしまうことが多いです。

この沈黙を利用して、斡旋者や悪質な大人が支配関係を築くケースもあります。「バレたくなければ言うことを聞け」と脅し、売春を繰り返させるような手口です。

一度こうした関係に陥ると、自力で抜け出すことは難しく、心理的にも大きなダメージを負います。

周囲の大人が異変に気づいたときには、すぐに児童相談所や警察に相談することが大切です。

精神的・身体的被害の拡大可能性

売春斡旋によって被害を受けた未成年は、性的被害だけでなく、トラウマやPTSD、自己肯定感の低下など深刻な精神的影響を受けます。

また、性感染症や暴力被害、ネット上での写真拡散など、身体的・社会的被害も拡大する傾向があります。

こうした被害は一度発生すると回復が難しく、長期的に人生に影響を及ぼします。したがって、「たった一度の行為」でも重大な結果を招くという意識を持つことが重要です。

社会としても、未成年を守るための教育・啓発・支援体制を強化していく必要があります。

もしトラブルに巻き込まれたらどうすればいい?相談先と対応方法

万が一、自分や知人が売春斡旋や強要などのトラブルに巻き込まれてしまった場合、冷静に正しい手順で対処することが大切です。ここでは具体的な相談先と行動方法を紹介します。

警察・相談窓口(婦人相談所・児童相談所など)へ通報

最も確実なのは、警察や行政機関に相談することです。都道府県警には「性犯罪・性暴力被害相談電話」や「サイバー犯罪対策課」が設置されています。

また、各自治体には婦人相談所や児童相談所があり、匿名でも相談が可能です。警察に直接行くのが不安な場合は、これらの機関を通じて支援を受けることもできます。

特に未成年の場合は、児童相談所が介入して安全を確保することができます。ためらわずに行動することが、被害拡大を防ぐ第一歩です。

相談内容は守秘義務のもとに扱われるため、「バレるのが怖い」と思っている人でも安心して相談できます。

法律相談できる弁護士やNPO支援団体の活用

売春斡旋性搾取の被害に巻き込まれた場合、法的な視点から助言を受けることも重要です。弁護士会では無料相談を行っているところもあり、状況に応じたアドバイスが得られます。

また、性被害者支援を専門とするNPO団体(例:「ライトハウス」「かれん基金」など)は、カウンセリングや住居支援など、実践的なサポートを提供しています。

特に加害者との関係が続いている場合、第三者の介入が安全確保の鍵になります。自分一人で抱え込まず、必ず専門機関に相談するようにしましょう。

弁護士を通じて警察との連携を図ることで、スムーズかつ安全に被害を解消できるケースも多いです。

証拠を確保する方法(スクリーンショット・記録など)

被害や関与の事実を証明するには、証拠を残すことが非常に重要です。SNSのメッセージ、送金履歴、写真、LINEのトークなどは、すべて法的な証拠になります。

特にスマートフォンのスクリーンショットは有力な証拠となるため、削除する前に保存しておきましょう。

また、相手から脅迫や金銭の要求を受けた場合は、その音声やメッセージも記録しておくことが大切です。

証拠を確保しておくことで、警察や弁護士が事実関係を立証しやすくなり、自身の身を守ることにもつながります。

身の安全を優先した行動計画(避難・退避手段)

被害者が加害者と同居していたり、監視されている場合は、何よりも身の安全を最優先に行動することが重要です。

必要に応じて、一時保護施設や避難所に移動し、第三者と連絡を取れる環境を確保しましょう。

また、加害者との接触を避けるために、電話番号やSNSアカウントを変更することも有効です。

行政や支援団体に相談すれば、避難手段や生活支援を含めたサポートを受けられます。決して一人で抱え込まず、周囲の信頼できる人や専門機関に助けを求めてください。

売春斡旋に関する刑罰と逮捕のリスクを理解し正しく行動しよう

売春斡旋は「紹介しただけ」「少し手伝っただけ」という軽い行為のつもりでも、法律上は重大な犯罪です。SNSやインターネットの普及により、誰もが加害者にも被害者にもなり得る時代だからこそ、正しい知識を持つことが求められています。

もし自分や周囲の人が関わってしまった場合は、すぐに警察や相談機関に連絡し、冷静に対応することが最も大切です。

また、未成年を巻き込むような行為は特に重罪であり、一度関与すると人生を大きく狂わせてしまう危険性があります。

売春防止法の目的は、罰することではなく「人を守ること」です。法律を理解し、安易に犯罪に巻き込まれない意識を持つことで、自分自身も他人も守ることができます。

知らなかったでは済まされない――その一歩を踏み出す前に、法の重みと人の尊厳を思い出しましょう。