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詐欺で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れと適切な対処法を徹底解説

もし自分や身近な人が詐欺で逮捕された場合、どのような流れで手続きが進むのか、どんなリスクや影響があるのか、不安でいっぱいになることでしょう。

この記事では、詐欺で逮捕されたときの流れや注意点、弁護士の重要性、そして家族や周囲への影響までをわかりやすく解説していきます。

万が一に備えて知識を持っておくことで、冷静に行動できるようになります。難しい法律用語は使わず、中学生でも理解できるよう噛み砕いてお伝えします。

目次

詐欺で逮捕されたらどうなる?基本的な流れを解説

詐欺容疑で逮捕された場合、刑事手続きには一定の流れがあります。まずはその基本を理解することが、冷静な対応につながります。

現行犯逮捕と通常逮捕の違い

逮捕には「現行犯逮捕」と「通常逮捕」の2種類があります。

現行犯逮捕とは、犯行の現場で警察官や一般人に逮捕されるケースで、裁判所の令状は不要です。たとえば、ATMで詐欺行為をしているところを見つかってその場で逮捕されるような場合です。

一方、「通常逮捕」は捜査の結果、証拠が集まって容疑が固まった段階で、裁判所の令状をもとに警察が自宅などで身柄を拘束するものです。

どちらの逮捕でも、その後の手続きは基本的に同じですが、現行犯逮捕のほうが突然であるため、心の準備ができないという点で衝撃が大きくなりやすいです。

逮捕から勾留までの72時間の流れ

逮捕されると、警察署に連行され、取調べが始まります。この段階では、最大48時間、警察が身柄を拘束できます。

その後、検察官に送致され、さらに24時間以内に勾留請求がされるかどうかが決まります。つまり、逮捕から最大72時間は、勾留されるかどうかの判断期間とされています。

この間に、弁護士を呼ぶことができ、家族が面会できる場合もあります。ただし、事件の内容によっては接見禁止がつくこともあります。

この72時間は非常に重要な時間であり、どんな対応をするかによって今後の流れが大きく変わることになります。

勾留期間と延長の可能性

勾留が認められると、原則として10日間、身柄を拘束されます。さらに、必要があれば裁判所の判断で最大10日間の延長が可能です。

つまり、最長で20日間は警察署や拘置所に留め置かれる可能性があるということです。

この間にも取調べが続き、検察官は起訴するかどうかの判断材料を集めます。もし勾留が延長される場合、それだけ重大な事件とみなされていると考えていいでしょう。

また、勾留中に被害者との示談が成立したり、有利な証拠が提出された場合、不起訴となる可能性もあります。

起訴・不起訴の判断基準

勾留期間中に、検察官が「起訴するか」「不起訴にするか」を決定します。

判断の基準には、証拠の強さ、被害の大きさ、被疑者の反省の態度、示談の有無などが含まれます。

初犯であることや、被害者との示談が成立していることは、不起訴に繋がる可能性が高くなります

逆に、反省の色が見られなかったり、被害が重大な場合は、起訴されて裁判に進むケースが一般的です。

この段階では、弁護士による助言や行動が非常に重要です。次章以降ではその役割についても詳しく見ていきましょう。

詐欺で逮捕されたときにやってはいけないこと

詐欺で逮捕された場合、取調べや捜査が進む中で「やってはいけない行動」をとってしまうと、状況が悪化するおそれがあります。ここでは、特に注意すべきポイントを解説します。

虚偽の供述をする

取調べ中に「嘘」をついてしまうと、あとで事実と矛盾した際に信用を失うことになります。

虚偽の供述は、かえって容疑を重くしたり、検察官や裁判官に不誠実な印象を与えてしまうリスクがあります

自分にとって都合の悪い事実でも、誠実に答えることが重要です。事実と異なる供述は避け、困ったときは黙秘権を行使する選択肢もあります。

黙秘権は「答えたくない質問には答えなくてもよい」という法律で認められた権利です。これを使うことで不利な供述を避けることができます。

証拠隠滅を図る

逮捕前後に、詐欺に関わる証拠(スマートフォンのメッセージ履歴、書類、銀行の記録など)を隠そうとする行為は、証拠隠滅と見なされます。

証拠隠滅は、起訴や量刑において非常に不利に働く可能性があります

また、他人に証拠を破棄させるよう頼む行為も、同様に違法となるおそれがあるため注意が必要です。

潔く捜査に協力し、誠意を見せることが、結果的に有利な判断を得るための近道になります。

被害者への直接連絡

逮捕された後、被害者に謝罪や弁解をしたい気持ちが出てくることは自然です。しかし、被害者に無断で連絡を取ることは逆効果になりかねません

直接連絡を取ると、脅迫や口止めと誤解されるおそれがあり、トラブルの元になります。

謝罪や示談の申し出は、必ず弁護士を通じて行うのが基本です。プロの法的サポートを受けながら行動することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

詐欺で逮捕された場合の家族や周囲への影響とは

逮捕されると、本人だけでなく家族や職場、学校など周囲の人にも大きな影響が及びます。その精神的・経済的負担は計り知れません。

職場や学校への影響

逮捕されると長期間拘束される可能性があるため、仕事や学校を欠席せざるを得ません。

その結果、会社を解雇されたり、学校から停学や退学処分を受ける場合もあります

たとえ不起訴や無罪になっても、一度広まった噂は簡単には消えません。社会復帰に時間がかかることもあります。

事実確認のための問い合わせが、勤務先や学校に入ることもあるため、名誉や信頼を失うリスクもあります。

家族の精神的・経済的負担

家族は、突然の逮捕に精神的なショックを受けることが多いです。特に子どもがいる場合、いじめや周囲からの偏見にさらされることもあります。

さらに、保釈金や示談金の支払い、弁護士費用などが必要になると、経済的負担も大きくなります

家庭内に不和が生じることもあり、逮捕の影響は生活全体に波及します。

家族への負担を軽減するには、早期に弁護士を通じて事態を把握し、正確な情報を共有することが大切です。

社会的信用の低下

一度逮捕されたという事実だけで、社会的信用は大きく揺らぎます。

たとえ無罪や不起訴となったとしても、「逮捕されたことがある」というレッテルは簡単には消えません

近隣住民や知人からの視線が変わったり、ローンや賃貸契約などの社会的手続きで不利になることもあります。

そのため、できるだけ早期に問題を解決し、信用の回復に努める必要があります。

詐欺で逮捕されたときの弁護士の役割と重要性

詐欺で逮捕された際、弁護士の存在は極めて重要です。法律の専門家である弁護士は、本人や家族の不安を取り除きつつ、最良の結果を目指してサポートしてくれます。

被害者との示談交渉

被害者との示談は、不起訴や量刑の軽減につながる非常に重要な手続きです。

しかし、本人が直接示談交渉を行うことは禁止されているため、弁護士を通じて行う必要があります

弁護士は、被害者の意向を尊重しつつ、誠意を持って謝罪や損害賠償の話し合いを進めてくれます。

また、被害者が示談に応じたくなるような提案や文書の作成なども、弁護士が担ってくれるため安心です。

早期釈放や不起訴の可能性を高める

弁護士は、勾留請求の取り下げを求める準抗告を行ったり、被疑者が社会的に安定していることを主張して、釈放を働きかけることができます。

また、被害者との示談が成立していることや、再犯の可能性が低いことなどを訴えることで、不起訴処分に持ち込む努力もしてくれます

本人や家族だけでは対応が難しい部分をすべて代行してくれるため、早期解決のためには不可欠な存在です。

経験豊富な刑事事件に強い弁護士を選ぶことが、結果を大きく左右します。

裁判での弁護活動

起訴されて裁判に進んだ場合、弁護士は被告人の権利を守るため、法廷で積極的な弁護活動を行います。

無罪主張が可能な場合は証拠を集めて立証を行い、有罪が避けられない場合は量刑を軽くするための主張を行います

被告人の反省の態度、社会復帰の見込み、家族の支援など、あらゆる要素を武器にして、裁判官の心証を良くする戦略が取られます。

また、執行猶予を得るための準備や証言者の確保など、裁判に勝つための戦略もすべて弁護士の腕にかかっています。

詐欺で逮捕されたときの取調べの進み方

警察や検察による取調べは、証拠集めや供述内容の確認を目的として行われます。この過程での対応が、その後の処分に大きく関わります。

警察による取り調べの内容

取調べでは、犯行の動機、方法、関与した人物、金銭の流れなど、さまざまな点について質問されます。

警察官は時に厳しい口調で追及してくることもあり、精神的に大きな負担となります

冷静さを保ち、事実に基づいた回答を行うことが重要です。混乱して嘘をついてしまうと、後の供述と食い違い、信用を失ってしまうおそれがあります。

また、黙秘権を行使する権利があることも忘れてはいけません。

供述調書の作成と注意点

取調べの最後には、供述内容をまとめた「供述調書」が作成されます。

この調書は、裁判で証拠として使われる可能性があるため、内容をよく確認する必要があります

自分が話した内容と異なる記載がある場合には、納得するまで署名・押印をしないようにしましょう。

「調書にサインすれば釈放される」と言われても、安易に応じるべきではありません。記録に残る発言であるという意識を常に持つことが重要です。

弁護士の同席と助言

弁護士は取調べに同席することはできませんが、事前に「どのように対応すべきか」について具体的なアドバイスをしてくれます。

たとえば、答えてよいことと答えるべきでないことの区別や、黙秘権の使い方などを指導してくれます

また、取調べ後に接見(面会)を行い、精神的な支えとなってくれることも大きなメリットです。

不当な取調べが行われている場合には、弁護士が抗議し、対応を改善するよう警察や検察に働きかけることも可能です。

詐欺で逮捕された場合の保釈や不起訴の可能性

逮捕後の展開として、多くの人が気になるのが「保釈できるのか」「不起訴になる可能性はあるのか」といった点です。ここでは、それぞれの条件や流れを詳しく見ていきます。

保釈の条件と手続き

逮捕されて起訴された後、被告人の身柄を釈放する手続きとして「保釈」があります。

保釈が認められるためには、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことが前提となります

また、保釈金を裁判所に納める必要があり、金額はケースによって異なりますが、一般的には100万円〜300万円程度とされています。

保釈が認められると、自宅で通常の生活を送りながら裁判を受けることができます。これは精神的にも経済的にも大きな救いとなるでしょう。

不起訴となるための要因

検察官が起訴しないと判断した場合、不起訴処分となります。不起訴になるためには、いくつかの有利な要素があります。

たとえば、被害者と示談が成立していること、初犯であること、反省の態度が見られること、社会的に更生が見込まれることなどが挙げられます

また、証拠が不十分である場合や、捜査機関が立証できないと判断した場合も不起訴となることがあります。

不起訴となれば、前科がつくこともなく、社会的な影響も最小限に抑えることが可能です。

執行猶予の獲得方法

もし起訴され有罪判決が下された場合でも、一定の条件を満たせば「執行猶予」が付くことがあります。

執行猶予とは、一定期間の間に再犯をしなければ刑の執行が免除される制度です

通常、初犯で反省の意思が強く、被害者との示談が成立している場合に、執行猶予が付く可能性が高まります。

この措置を得るためには、裁判での弁護士による弁護活動や、裁判所への反省文の提出、家族の支援体制の証明などが効果的です。

詐欺で逮捕されたときの対処法を知っておこう

もし自分や家族が詐欺で逮捕されてしまった場合、冷静な対応が何よりも重要です。ここでは、知っておくべき基本的な対処法を紹介します。

早期に弁護士に相談する

まず最も重要なのが、できるだけ早く弁護士に相談することです。逮捕直後は状況が複雑で、本人も家族も混乱していることが多いですが、法律の専門家がいることで精神的にも落ち着きを取り戻せます。

初期対応を誤ると、供述内容や取調べの態度によっては不利な方向に進むこともあるため、早期相談は不可欠です。

弁護士がいれば、身柄の早期解放や示談交渉の開始、保釈申請などにも迅速に対応できます。

被害者との示談を進める

被害者との示談は、不起訴や量刑の軽減にとても効果があります。

特に金銭的被害が明確な場合、誠意を持って賠償し謝罪することが大切です

示談書は証拠として提出されることが多く、裁判や検察官の判断にも大きく影響を与えます。

ただし、示談交渉は弁護士を通じて行うのが原則です。自分で連絡を取ると逆効果になる場合もあるので注意しましょう。

反省の意思を示す

逮捕後の対応として、反省の意思を示すことも重要です。

被害者に謝罪文を送る、反省文を作成する、再発防止策を誓約するなどの行動は、検察や裁判所に誠意を示す材料となります

また、家族や職場の支援体制を整えることで、社会復帰への意思を明確に示すことも評価の対象になります。

言葉だけでなく、行動で反省の気持ちを伝えることが重要です。

詐欺で逮捕された人によくある質問とその答え

詐欺で逮捕された場合、多くの人が共通して抱く疑問があります。ここでは、よくある質問に対してわかりやすく回答していきます。

初犯でも実刑になるのか?

初犯の場合、実刑ではなく執行猶予がつくケースが多いですが、被害金額の大きさや悪質性によっては実刑になる可能性もあります。

被害者が多数に及ぶ場合や、組織的な犯行である場合は、たとえ初犯でも厳しい処分が下されることがあります。

反対に、被害者と示談が成立している、深く反省しているなどの事情があると、執行猶予が付きやすくなります。

最終的な判断は裁判官によって下されるため、弁護士の弁護方針も重要です。

保釈金はいくら必要か?

保釈金の金額は、事件の内容や本人の経済状況などにより異なります。

一般的には100万円〜300万円が相場ですが、重大な事件や逃亡のおそれがあると判断された場合は、これより高額になることもあります。

保釈金は裁判が終われば原則として返還されますが、逃亡したり証拠隠滅を図った場合には没収されます。

そのため、保釈後も法に従って誠実に対応することが求められます。

家族が面会できるのはいつから?

逮捕直後は「接見禁止」がつくことが多く、一定期間は家族の面会が制限されます。

通常は、勾留が決定された後から、弁護士以外の面会が許可されることが一般的です

ただし、事件の性質によっては、勾留中ずっと接見禁止が続くこともあります。

このような場合でも、弁護士であればいつでも面会できるため、家族の伝言などは弁護士を通じて伝える形になります。

不起訴になる確率は?

不起訴になる確率は、事件の内容や状況によって大きく変わります。

統計的には、刑事事件全体の約60〜70%が不起訴となっているものの、詐欺事件は比較的起訴されやすい傾向にあります

ただし、示談成立や初犯、自首、深い反省などがあると、不起訴になる可能性が高くなります。

不起訴を目指すには、適切な法的アプローチと早期の弁護士対応がカギになります。

まとめ|詐欺で逮捕された場合の流れと対処法を理解しよう

詐欺で逮捕されると、精神的・経済的なダメージが大きく、今後の人生にも大きな影響を及ぼします。

しかし、冷静に状況を把握し、弁護士のサポートを受けながら適切に対処することで、釈放や不起訴、執行猶予などの可能性を高めることができます

取調べの対応、供述調書の署名、被害者との示談など、ひとつひとつの判断が重要になります。

また、家族や職場への影響も考慮し、早めの対策を講じることが、再出発への第一歩となるでしょう。

本記事を通じて、詐欺で逮捕された場合の基本的な流れと対処法を理解し、不安を少しでも軽減できれば幸いです。