日常の中の「もしも」に備える法律ノート

不起訴はいつわかる?|逮捕から起訴までの日数と確認方法

警察の取り調べが終わったあと、「起訴されるのか、不起訴になるのか」が分からないまま日々が過ぎ、落ち着かない気持ちでいる方も多いのではないでしょうか。ご家族が逮捕されて、いつ結果が出るのか見当もつかず不安でいっぱいという方もいるでしょう。

しかし、刑事手続きには法律で定められた期限があり、処分が決まる時期にはおおよその目安があります。逮捕された身柄事件なら不起訴は逮捕から最長23日以内に決まり、逮捕されていない在宅事件は期限がなく数か月かかるのが一般的です。

この記事では、逮捕から起訴・不起訴が決まるまでの日数、在宅事件で結果が出るまでの期間、不起訴の種類、不起訴処分告知書などによる確認方法、不起訴後の前科・前歴や検察審査会をわかりやすく解説します。処分を待つご本人やご家族は参考にしてください。

不起訴はいつわかりますか?

この章では、不起訴が決まる時期の全体像を、逮捕された事件と逮捕されていない事件に分けて整理します。

身柄事件は逮捕から最長23日以内に決まる

逮捕されて身柄を拘束された事件(身柄事件)では、刑事訴訟法が逮捕・送致・勾留(こうりゅう)それぞれに期限を設けています。逮捕から送致まで48時間、送致から勾留請求まで24時間、勾留は10日で延長しても最長20日です。

これらを合計すると、逮捕から起訴・不起訴の判断までは最長でも23日程度となります。検察官は勾留の満期までに処分を決めなければ、被疑者を釈放しなければなりません。

在宅事件には法律上の期限がない

一方、逮捕されずに自宅で生活しながら捜査を受ける事件(在宅事件)には、処分までの期限を定めた条文がありません。身柄拘束がないため、検察官は急いで結論を出す必要がなく、捜査の順番待ちになることも珍しくありません。

そのため、在宅事件では警察の取り調べから数か月、長いと1年近く連絡がないということも起こります。連絡がないことは、不起訴が決まったことを意味するわけではない点に注意が必要です。

処分が決まっても自動的には通知されない

不起訴になっても、検察庁から本人へ自動的に通知が届くわけではありません。刑事訴訟法第259条は、被疑者から請求があったときに不起訴を告げる仕組みを定めています。

Point

不起訴が「いつわかるか」は、身柄事件なら勾留満期の日、在宅事件なら検察官が処分を決めた日に本人側から確認したときです。待っているだけでは結果が届かないことがある、と覚えておいてください。

逮捕から起訴・不起訴までの日数はどのくらいですか?

この章では、逮捕された場合に処分が決まるまでの日数を、刑事訴訟法の条文にそって段階ごとに見ていきます。逮捕直後の72時間の動きは「逮捕されたら|72時間以内の流れと弁護士への依頼」でも解説しているので、あわせて読むと流れがつかみやすくなります。

段階ごとの期限を表で確認する

身柄事件の各段階に定められた期限は、次の表のとおりです。

段階 期限 根拠条文 期限内に起きること
逮捕 → 検察官への送致 逮捕から48時間以内 刑事訴訟法第203条 警察が取り調べを行い、書類と証拠物とともに検察官へ送致
送致 → 勾留請求 送致を受けてから24時間以内(逮捕から通算72時間以内) 刑事訴訟法第205条 検察官が弁解を聞き、釈放するか裁判官に勾留を請求するかを判断
勾留(原則) 勾留請求の日から10日以内 刑事訴訟法第208条第1項 検察官が捜査を進め、起訴するか不起訴にするかを判断
勾留の延長 やむを得ない事由があるとき、通じて10日まで 刑事訴訟法第208条第2項 延長分を含めると勾留は最長20日

逮捕から48時間以内に検察官へ送致される

警察が被疑者を逮捕した場合、留置の必要があると判断すれば、身体を拘束した時から48時間以内に書類と証拠物とともに検察官へ送致しなければなりません(刑事訴訟法第203条)。

留置の必要がないと判断されれば送致前に釈放されることもありますが、事件は在宅事件として続くのが通常です。

送致から24時間以内に勾留請求の判断がされる

送致を受けた検察官は、被疑者に弁解の機会を与えたうえで、留置の必要がなければ直ちに釈放し、必要があれば24時間以内に裁判官へ勾留を請求します(刑事訴訟法第205条第1項)。この時間制限は逮捕から通算で72時間を超えることができません(同条第2項)。

法務省の令和7年版犯罪白書によると、令和6年の勾留請求却下率は4.3%(過失運転致死傷等・道路交通法違反を除く)で、多くの請求は認められている状況です。

勾留は10日、延長すると最長20日

勾留が認められると、勾留請求の日から10日以内に起訴されなければ、検察官は直ちに被疑者を釈放しなければなりません(刑事訴訟法第208条第1項)。裁判官がやむを得ない事由を認めたときは、検察官の請求で通じて10日を限度に延長される場合があります(同条第2項)。

たとえば、9月1日に逮捕され、9月3日に勾留請求されたケースでは、勾留の満期は9月12日です。延長されれば最長で9月22日まで勾留され、その日までに起訴か不起訴かが決まります。

勾留満期の日に処分が決まる

検察官は勾留満期の日までに、起訴するか、不起訴にするか、あるいは処分を保留したまま釈放するかを決めます。不起訴になれば、その日のうちに釈放されるのが通常です。

在宅事件の不起訴はいつわかりますか?

この章では、逮捕されずに捜査を受ける在宅事件で、処分が決まるまでにどのくらいかかるのか、実務上の目安と注意点を整理します。

在宅事件では処分までの期限がない

在宅事件は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないとして身柄を拘束せずに捜査する事件です。刑事訴訟法の48時間・24時間・10日といった期限は身柄を拘束された被疑者を前提にした規定で、在宅事件には適用されません。

法律上の期限として残るのは公訴時効(刑事訴訟法第250条)だけで、罪の重さに応じて1年から30年(一部の重大犯罪は時効なし)と定められています。つまり在宅事件は、理屈のうえでは時効が完成するまで処分が決まらない可能性があります。

数か月から1年程度かかることも少なくない

実務では、警察の取り調べが終わって検察庁へ書類が送られるまでに1〜3か月、そこから検察官の取り調べや処分の判断までにさらに数か月かかるのが一般的です。全体として、警察の最後の取り調べから半年前後で処分が決まるケースが多いと言われます。

被害者との示談交渉が続いている場合や、余罪の捜査が並行している場合は、さらに長引く可能性があります。示談の進め方は「示談交渉|やり方・流れと示談書作成のポイント」で詳しく解説しています。

検察庁からの呼び出しが処分前の合図になる

在宅事件では、検察官が処分を決める前に被疑者を検察庁へ呼び出して取り調べるのが通常で、この呼び出しがあれば処分の判断が近づいていると考えてよいでしょう。

ただし、その場で「不起訴です」と明言されることはまれです。

処分保留での釈放と在宅事件の違い

勾留満期に起訴も不起訴も決めないまま釈放されることを「処分保留」と呼びます。刑事訴訟法第208条は勾留期間内に起訴しなければ釈放することを求めているだけで、そのとき不起訴を決めなければならないとは定めていません。

釈放後は在宅事件と同じように捜査が続き、後日改めて起訴か不起訴かが決まります。釈放を「不起訴になった」と誤解しないよう注意が必要です。

Point

在宅事件と処分保留の釈放には期限がありません。「連絡がない=終わった」ではなく、検察官が処分を決めた時点で弁護人か本人が確認して初めて結果が分かる、と考えておきましょう。

不起訴にはどんな種類がありますか?

この章では、ひとくちに「不起訴」と言っても理由によって意味が大きく違うことを、法務省の事件事務規程にある区分をもとに整理します。

不起訴の主な3つの区分

検察官が不起訴にするときは、法務省の事件事務規程第75条第2項に定められた区分にしたがって理由を記録します。一般の方の事件で関係することが多いのは、次の3つです。

区分 意味(事件事務規程第75条第2項) 前科・前歴
嫌疑なし 被疑者が行為者でないことが明白、または犯罪の成否を認定すべき証拠がないことが明白なとき 前科はつかない。捜査対象になった記録(前歴)は残る
嫌疑不十分 犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき 同上
起訴猶予 被疑事実が明白でも、性格・年齢・境遇、犯罪の軽重・情状、犯罪後の情況により訴追を必要としないとき 同上

嫌疑なし・嫌疑不十分は「証拠が足りない」

嫌疑なしは、人違いが判明した場合など、犯罪を認定する証拠がないことがはっきりしている区分です。嫌疑不十分は、裁判で有罪を立証できるだけの証拠がそろっていない場合に使われます。

どちらも本人にとっては納得しやすい不起訴ですが、被害者側には不服が残りやすく、後述する検察審査会への申立てにつながることがあります。

起訴猶予は「やったが今回は起訴しない」

起訴猶予は、犯罪の事実は認められるものの、刑事訴訟法第248条にもとづき検察官が訴追を見送る処分です。初犯であること、被害が軽いこと、被害者と示談が成立していること、反省と再発防止の態度が示されていることなどが判断材料になります。

たとえば、初めての万引きで被害品を弁償し、店側と示談が成立して被害届が取り下げられたようなケースでは、起訴猶予となる可能性があります。

その他の不起訴と「罪とならず」

このほか事件事務規程には、公訴時効の完成、心神喪失、被疑事実が犯罪の構成要件に該当しない「罪とならず」など、合わせて20の区分があります。親告罪で告訴が取り下げられた場合も不起訴になります。

統計で見る不起訴の多さ

法務省の令和7年版犯罪白書によると、令和6年の検察庁終局処理人員総数は782,735人で、起訴率は32.6%でした。内訳は公判請求80,287人、略式命令請求158,783人、起訴猶予429,432人、その他の不起訴64,586人、家庭裁判所送致49,647人です。

処理された事件の半数以上が起訴猶予で、不起訴は珍しい結末ではありません。ただし道路交通法違反などを含む全事件の集計なので、罪名ごとの割合は異なります。

不起訴になったかどうかはどう確認しますか?

この章では、不起訴が決まったことを本人・家族・被害者それぞれの立場から確認する方法を解説します。

不起訴処分告知書を検察官に請求する

刑事訴訟法第259条は、検察官が不起訴処分をした場合に、被疑者の請求があればその旨を速やかに告げなければならないと定めています。書面での告知には、事件事務規程第76条第1項が定める「不起訴処分告知書」が使われます。

請求の手順は、おおむね次のとおりです。

  1. 事件を担当している検察庁と検察官(または担当事務官)を確認する
  2. 検察庁に電話または窓口で「不起訴処分告知書の交付を請求したい」と伝える
  3. 検察庁が案内する方法(郵送・窓口)で請求書を提出する。書式は検察庁ごとに案内される
  4. 不起訴が決まっていれば告知書が交付され、決まっていなければその旨が伝えられる

告知書には処分の年月日や罪名、不起訴の裁定の主文(起訴猶予・嫌疑不十分など)が記載され、勤務先などに処分結果を示すときに役立ちます。

弁護人を通じて検察官に確認してもらう

弁護人がついている場合は、弁護人が担当検察官に直接処分の見通しや決定を確認するのが最も早い方法です。身柄事件では、勾留満期の当日に弁護人が検察官へ連絡し、処分結果を本人と家族に伝えるのが通常の流れです。

不起訴処分告知書の請求も、弁護人が代理して行うことが一般的です。

被害者側は被害者等通知制度で知ることができる

被害者やそのご家族は、検察庁の「被害者等通知制度」を利用して、事件の処理結果を知ることが可能です。法務省の案内によると、通知される事項には公判請求・略式命令請求・不起訴などの別と処理年月日のほか、希望すれば、不起訴裁定の主文や理由の骨子も通知される場合があります。

通知を希望する場合は、検察官から意向を確認された際に申し出るか、担当の検察庁に照会します。弁護士である代理人からの照会でも通知を受けられます。

告訴した人には通知義務がある

被害者が告訴や告発をしていた事件では、検察官は起訴・不起訴の処分をしたときに速やかにその旨を告訴人・告発人に通知しなければなりません(刑事訴訟法第260条)。さらに、告訴人などから請求があれば不起訴の理由も告げる必要があります(同法第261条)。

理由の告知を書面で受けるときは、事件事務規程第76条第2項の「不起訴処分理由告知書」が使われます。被害者側が処分に納得できないときは、この理由を確認したうえで検察審査会への申立てを検討することになります。

Point

不起訴は「待っていれば通知が届く」処分ではありません。ご本人は刑事訴訟法第259条にもとづく不起訴処分告知書の請求、被害者側は被害者等通知制度と第260条・第261条の通知を使って、自分から確認する必要があります。

不起訴が決まった後はどうなりますか?

この章では、不起訴が確定したあとの前科・前歴の扱いや、処分が覆る可能性について解説します。

前科はつかないが前歴は残る

不起訴になれば裁判は開かれず有罪判決も受けないので、前科はつきません。一方で、被疑者として捜査された記録は「前歴」として捜査機関に残ります。前歴は戸籍や住民票に載るものではなく、一般の人が調べられる情報でもありません。

ただし、同種の事件を繰り返すと前歴が考慮され、2度目は起訴猶予になりにくい可能性があります。前科と不起訴の関係は「前科をつけたくない!不起訴との違いや避けるために」で詳しく解説しています。

検察審査会で不起訴が覆ることがある

被害者や告訴人が不起訴に納得できないときは、検察審査会に審査を申し立てることが可能です(検察審査会法第2条第2項・第30条)。検察審査会は、選挙権を持つ国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員で構成され(同法第4条)、全国に165か所あります。

議決には「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」の3種類があり、起訴相当(8人以上の多数が必要)や不起訴不当の議決が出ると検察官が再検討します(同法第41条)。このうち起訴相当の議決に対して検察官が再び不起訴にした場合に限り、検察審査会が2回目の審査を行い(同法第41条の2)、8人以上が起訴すべきと判断すると「起訴議決」となって(同法第41条の6)、裁判所が指定した弁護士が検察官に代わって起訴します。裁判所の案内では、制度開始から令和7年12月31日までに審査した約19万人のうち、検察官が再検討して起訴した人は約1,900人、起訴議決に至った人は16人です。不起訴が覆る例は多くはありませんが、ゼロではありません。

よくある質問

不起訴になったら検察庁から連絡は来ますか?

被疑者本人へ自動的に通知する仕組みはありません。刑事訴訟法第259条にもとづき本人が請求して初めて告げられるので、弁護人か本人から検察官に確認するのが一般的です。

在宅事件で半年以上連絡がありません。不起訴になったと考えてよいですか?

連絡がないことは不起訴を意味しません。在宅事件には処分の期限がなく、検察官がまだ判断していないだけの可能性があります。担当検察庁に問い合わせるか、弁護士を通じて確認するとよいでしょう。

処分保留で釈放されました。不起訴ですか?

処分保留は不起訴ではありません。勾留満期に起訴も不起訴も決めないまま釈放されたもので、その後は在宅で捜査が続き、後日改めて処分が決まります。

起訴猶予は「無罪」と同じですか?

違います。起訴猶予は犯罪の事実が認められることを前提に、検察官が訴追を見送る処分です。前科はつきませんが、捜査を受けた前歴は残り、再び同種の事件を起こすと処分が重くなる可能性があります。

まとめ|不起訴がわかる時期と確認方法

不起訴が決まる時期は、逮捕された身柄事件と逮捕されていない在宅事件で大きく違います。身柄事件では、逮捕から48時間以内の送致(刑事訴訟法第203条)、送致から24時間以内の勾留請求(同第205条)、勾留10日と延長10日(同第208条)という期限があり、逮捕から最長23日程度で起訴か不起訴かが決まります。

在宅事件には期限がなく、警察の取り調べから数か月、長いと1年近く結果が出ないこともあります。連絡がないことや処分保留での釈放は、不起訴を意味しません。

不起訴には嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予などの区分があり、いずれも前科はつきませんが前歴は残ります。

不起訴は自動的に通知されないため、ご本人は刑事訴訟法第259条にもとづく不起訴処分告知書の請求、被害者側は被害者等通知制度や同法第260条・第261条の通知で確認します。被害者側が納得できなければ検察審査会に申し立てる道もあります。

処分を待つ間の示談や再発防止の取り組みは、起訴猶予の判断に影響する可能性があります。見通しの確認も含め、刑事事件に強い弁護士へ早めに相談することが大切です。

結果が分からない時間は不安なものですが、期限の仕組みと確認方法を知っていれば、次にやるべきことが見えてきます。焦らず、今できる準備を一つずつ進めていきましょう。

参考:

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。

最終更新日: 2026年9月30日/執筆: 編集部/弁護士監修: 準備中